品川シーズンテラス

品川シーズンテラス：下水処理場の上のオアシス

東京都港区港南1丁目にそびえ立つ品川シーズンテラスは、地上32階、地下1階、高さ144mの超高層複合施設です。オフィスと商業施設が一体となったこのビルは、その建設背景にユニークな特徴を持っています。

下水処理場と一体となった革新的プロジェクト

このビルの建設は、東京都による芝浦水再生センターの改修計画と密接に関連しています。東京都は、再生センターの上部土地の借地権を、NTT都市開発を中心とするグループに30年間の契約で貸与しました。落札金額は約864億円（報道によっては約848億円）で、現金ではなく、完成したビルの持ち分を取得する形で決済されました。この結果、東京都はビル全体の約半分を所有することになり、その約60%を賃貸することで、下水道事業の運営経費の一部を賄う仕組みが構築されました。初年度は約26億円の収益が見込まれていました。

地下貯留池と環境配慮設計

ビルの地下には、巨大な雨水貯留池が建設されています。幅約110m、長さ約84m、高さ約17～22mの規模を誇り、約76,000立方メートルの雨水を貯留できます。この貯留池の上に人工地盤が造られ、その上に超高層ビルが建設されています。この特殊な構造を活かし、安定した温度の下水熱を利用した空調システムや、屋上の可動式鏡による自然光導入システムなど、環境に配慮した省エネルギー設計が採用されています。ビルの周囲には約3.5haの緑地も整備され、都市環境の改善にも貢献しています。

充実した商業施設とオフィス空間

1階から3階は商業施設となっており、飲食店を中心に多様なテナントが入居しています。5階以上はオフィスフロアで、基準階面積は約1500坪と広々とした空間が確保されています。免震構造を採用し、貯水タンクや再生水利用システム、非常用発電機などを備えることで、災害時にも72時間程度のビル機能維持を目指しています。

歴史と主な入居企業

2009年に着工、2015年に全面開業した品川シーズンテラスは、2017年にはグッドデザイン賞を受賞しています。多くの著名企業がオフィスを構えており、その一部を挙げると、丹青社、レベルファイブ、オイレス工業、エムオーテックス、ジブラルタ生命保険、SCREENセミコンダクターソリューションズ、JALUX、日本保育サービス、NTTファイナンス、公益財団法人JKA、株式会社コジマプロダクション、レンゴー東京本社、ロシュ・ダイアグノスティックス、日東電工東京本社、日本ペイントホールディングス東京本社、株式会社クロスキャットなどがあります。

アクセスとその他

JR品川駅港南口から徒歩6分、JR高輪ゲートウェイ駅からもアクセス可能です。ただし、高輪ゲートウェイ駅からの直接通路は未完成となっています。駐車場は369台分用意されています。

嵐の楽曲「復活LOVE」のミュージックビデオの撮影にも使用され、また、『NAGI 凪』の常設展示も行われています。品川シーズンテラスは、単なるビルではなく、技術革新と環境配慮、そして芸術文化が融合した複合施設として、都市のランドマークとしての役割を担っています。

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