善水寺

善水寺（ぜんすいじ）

滋賀県湖南市岩根にある善水寺は、天台宗に属する歴史ある寺院で、山号は岩根山です。本尊には薬師如来が祀られており、常楽寺や長寿寺と共に湖南三山の一つとして知られています。

歴史

善水寺の中世以前の歴史は詳細には語られていないものの、伝説では奈良時代の和銅年間（708年 - 715年）に元明天皇によって国家鎮護の道場として創建されたと伝えられています。最初は和銅寺と呼ばれていたと言われています。その後、平安時代の初めに最澄がこの地を訪れ、池から湧き出た薬師如来を本尊とし、雨乞いの祈祷を行いました。それを契機に天台寺院に改められ、延暦寺の別院や堂宇も建立されたとされています。

特に桓武天皇が重病にかかった際、最澄がこの寺の霊水を献上するとすぐに病が癒えたため、天皇から岩根山善水寺という寺号が与えられたとされています。その後、境内は広がり、26の塔頭が存在しました。中でも岩根山には多くの坊があり、善覚院や中之坊、角之坊などが数多く存在したため、岩根山は「十二坊山」とも呼ばれました。1953年には大雨の影響で仁王門が流失するという事件もありました。

境内

善水寺の境内にはいくつかの重要な建物やスポットがあります。まず、本堂は国宝に指定されており、南北朝時代に建立されたとされています。建物は木造の入母屋造で、檜皮葺きとなっており、天台密教仏堂の様式を持っています。また、鐘楼や元三大師堂、庭園、百伝弁才天なども境内にあります。

特に「善水元水」は桓武天皇の病を治したとされる霊水で、汲むことが許されています。他にも六所権現社があり、さまざまな神々が祭られています。また、1876年には行者堂が現在地に移転され、庫裏や観音堂、地蔵堂なども点在し、それぞれに見所があります。

文化財

善水寺は多くの文化財を有しており、本堂は国宝に指定されています。また、木造の薬師如来坐像や梵天・帝釈天立像、四天王立像なども重要文化財として認められています。特に、木造薬師如来坐像は993年に造られた秘仏で、非常に重要な作品として認識されています。

滋賀県や湖南市にも多くの指定文化財があり、聖観世音菩薩像や十二神将など、訪れる際にはぜひ寄り添って見学していただきたい貴重な文化遺産が揃っています。

アクセス

善水寺へのアクセスは、JR草津線の甲西駅からバスで11分、岩根バス停から徒歩10分ほどです。また、車でのアクセスも良好で、名神竜王ICからは約20分の距離に位置しています。駐車場も整備されており、普通車30台、大型車4台が駐車可能です。

拝観情報

拝観時間は9時から16時までで、拝観料は600円です。滋賀の自然と歴史を感じることのできるこの善水寺を訪れることは、心の安らぎをもたらす素晴らしい体験になるでしょう。

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