土湯温泉

土湯温泉（つちゆおんせん）

福島県福島市に位置する土湯温泉は、1400年以上の歴史を誇る温泉地です。吾妻・安達太良連峰の中腹にあるこの温泉街は、会津街道沿いに広がり、多様な泉質が楽しめることで知られています。特に、炭酸水素塩泉、単純泉、硫黄泉など10種類以上の天然温泉があります。

歴史

土湯温泉の開湯伝説によると、大穴貴命が荒川の岸で地面を鉾で突いたことからその名が生まれたと言われています。587年には聖徳太子の使者がこの地で湯治を行ったという伝説も残されています。歴史深い土湯の名が『吾妻鏡』に記載されるのは鎌倉時代になってからのことです。また、1999年に国民保養温泉地に指定され、2007年には地域団体商標として登録されています。2011年には東日本大震災後の避難者を受け入れ、温泉街としての役割を果たしました。

こけし文化

土湯温泉は、三大こけし発祥の地の一つとしても有名です。地域を代表する郷土玩具である「土湯こけし」は、温泉街の至る所に見受けられ、観光の一環として楽しむことができます。土湯こけしは、頭部に蛇の目の模様が描かれ、胴の模様は独特の線の組み合わせが特徴です。

温泉街と観光スポット

土湯温泉には大小さまざまな旅館やホテルがずらりと並び、観光客を迎え入れています。町内には無料で利用できる足湯が4か所あり、観光客に人気です。共同浴場「中之湯」もあり、観光と温泉を同時に楽しむことができます。また、近隣の仁田沼では美しい花々が咲き誇り、自然観光スポットとして訪れる人々を魅了しています。

東日本大震災の影響

土湯温泉の最盛期は昭和50年代半ばで、23軒の旅館があったものの、2011年の東日本大震災以降は多くの施設が閉館しました。多くの旅館が震災後すぐに経営を断念したものの、避難者を多く受け入れたことで一定の需要を保ちました。しかし、避難者の移動に伴い、需要が減少し、風評被害の影響も受けて旅館経営は厳しい状況に追い込まれました。現在も復興に向けた動きが続いており、第1期として公衆浴場の再建などが行われています。地元企業による新たな取り組みも進行中です。

交通アクセス

土湯温泉は、公共交通を利用すると東北新幹線福島駅から福島交通の路線バスで約45分の距離にあります。また、車でアクセスする場合は東北自動車道・福島西ICから国道115号を利用して15分で到着します。

観光スポットや豊かな自然と、歴史ある温泉郷としての魅力を併せ持つ土湯温泉は、訪れる人々に素晴らしい体験を提供しています。

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