大船

神奈川県鎌倉市大船：歴史と文化が織りなす街

鎌倉市北西部に位置する大船は、古くから交通の要衝として発展を遂げてきた地域です。北は横浜市、西は藤沢市と隣接し、鎌倉の中心部と周辺地域を繋ぐ重要な役割を担っています。その歴史、地理、そして現代の姿を多角的に見ていきましょう。

地理的特徴と交通の要衝

大船は、柏尾川が蛇行しながら流れる低地と、周囲を取り囲む小高い丘陵地から構成されています。柏尾川には小袋谷川、砂押川などの河川が合流するため、かつては水害が多発していました。現在では、東海道線、横須賀線が走り、湘南モノレールも乗り入れるなど、鉄道網が充実しています。しかし、複数の県道が平面交差する構造や、鉄道の踏切も多く、交通渋滞が課題となっています。

歴史を彩る変遷

大船の歴史は、鎌倉郡小坂村に遡ります。1933年に大船町となり、まもなく玉縄村を合併。その後、1948年に鎌倉市に編入されました。大船駅開業（1888年）を機に、駅東側が急速に発展し、商業の中心地となりました。関東大震災前には「大船田園都市計画」が構想されましたが、実現には至りませんでした。大船競馬場の跡地には1936年、松竹大船撮影所が移転し、数々の名作映画が誕生しました。この撮影所の存在は、大船の人気を高め、地域の発展を促す大きな要因となりました。戦後には、東京・横浜のベッドタウンとして住宅開発が進み、人口が増加しました。1995年には「鎌倉シネマワールド」が開設されましたが、1998年に閉鎖。撮影所自体も2000年に閉鎖され、現在は鎌倉女子大学大船キャンパスとなっています。

地域の細分化と地価

大船地域は、歴史的な経緯や地理的特徴から、いくつかの地域に細分化されています。大船市街地域、大船丘陵地域、北鎌倉地域、玉縄地域など、それぞれに異なる特徴を持ち合わせています。住宅地の地価は、2023年1月1日時点の公示地価によると、大船2丁目や3丁目で30万円/m2を超える地域も見られます。

産業と経済

大船は、古くから交通の要衝として栄え、近年ではベッドタウンとしての側面も強くなっています。かつては三菱電機、資生堂などの工場が進出し、工業地帯としての機能も有していました。現在では、商業、サービス業などが中心となり、大船駅周辺は活気に満ち溢れています。2021年の経済センサス調査によると、大船には多くの事業所が存在し、雇用を支える重要な役割を担っています。

文化と観光

大船には、鎌倉芸術館、常楽寺、散在ガ池森林公園などの観光スポットがあります。また、玉縄地域には大船観音、神奈川県立フラワーセンター大船植物園、玉縄城などの歴史的建造物や自然豊かな場所が存在します。大船音頭は、松竹撮影所移転後に誕生した地域を代表する民謡です。2007年には歌詞が再発見され、新たな振り付けで復興が検討されています。大船軒の駅弁、特に日本で初めて駅弁に採用されたサンドイッチは、大船を代表するグルメとして知られています。

行政と教育

大船には、鎌倉市大船行政センター、神奈川県大船警察署、鎌倉市大船消防署などの行政機関が置かれています。教育機関としては、鎌倉女子大学大船キャンパス、大船高等学校、湘南美術学院などがあり、地域住民の学習の場を提供しています。

交通アクセス

大船駅は、JR東海道線、横須賀線、湘南モノレールが乗り入れる交通の要衝です。バス路線も充実しており、鎌倉市内や周辺地域へのアクセスが容易です。主要な道路としては、神奈川県道21号横浜鎌倉線、神奈川県道23号原宿六ツ浦線などが挙げられます。

まとめ

大船は、歴史、地理、文化、そして現代社会が複雑に絡み合った魅力的な街です。交通の要衝としての役割、映画の街としての歴史、そしてベッドタウンとしての発展など、多様な側面を持つ大船は、これからも発展を続けることでしょう。

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