天目一箇神

天目一箇神について

天目一箇神（あめのまひとつのかみ）は、日本の神話における鍛冶と製鉄の神として知られています。彼は『古語拾遺』、『日本書紀』、さらには『播磨国風土記』に記載があり、さまざまな名称で呼ばれています。これらの名前には、天之麻比止都禰命（あめのまひとつねのみこと）、天久斯麻比止都命（あめのくしまひとつのみこと）、天津麻羅（あまつまら）、などが含まれています。また、ひょっとこの原型とも言われており、多くの意義を持つ神であることを示しています。

鍛冶の神としての役割

天目一箇神は、鍛冶職に携わる者たちの信仰の対象でした。彼が鍛冶をしている姿は『古事記』の岩戸隠れのエピソードに見られる天津麻羅と同一視されています。神名の「目一箇」は「片目」を指すと言われ、鍛冶職が鉄の熱を見極めるために片目をつぶることから来ているという見解が一般的です。あるいは、鍛冶の職業病として片目を失ったことがその由来として挙げられています。

『播磨国風土記』の神話

天目一箇神は、『播磨国風土記』の一節にも登場します。この中で、彼は土地の女神・道主日女命（みちぬしひめのみこと）が産んだ子供の父親として描かれます。この子供は、神々から選ばれる盟酒を受ける相手を見つける試練を受け、結果的に天目一命がその子の父であることが解明されます。これにより、この物語は農耕民と製銅者集団の結束を表していると解釈されています。

天目一神社

兵庫県西脇市にある天目一神社は、彼を祀る神社であり、製鉄の神として長い間信仰されてきました。ここでは、彼の神勅に基づいたお祭りや儀式が行われ、地域の発展に寄与しています。神社の存在は、地域の文化や産業に密接に関連しているため、訪れる人々にとって重要なスポットになっています。

一目連との関連

また、一目連（いちもくれん、ひとつめのむらじ）は、天目一箇神と同一神として視されています。多度大社のもとにある一目連神社の祭神でありながら、元々は片目を潰した龍神とされています。一目連は天候を司る神とも言われており、江戸時代には特に海難事故の防止や雨乞いのために熱心に信仰されました。

柳田國男の考察によると、一目連に対する信仰は、伊勢湾周辺の航海者が多度山の様子から天候の変化を読み取ることから生まれたとされています。多度山は伊勢湾に近く、その霧や天候に因んだ神秘性が信仰の基盤を支えているのでしょう。

まとめ

天目一箇神は、日本神話における多面的な象徴であり、鍛冶の神としての役割だけでなく、地域社会や文化に深く根付いた存在です。彼の伝説や多様な側面は、今なお多くの人々に尊敬され続けています。

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