多度山

多度山

多度山（たどやま、たどさん）は、三重県桑名市と岐阜県海津市にまたがる標高403mの山です。養老山地の南端に位置し、古くから人々に親しまれてきました。

歴史と信仰

多度山の南麓には、古代より鎮座する多度大社があり、この地域の人々の信仰の中心となっています。多度大社が創建される以前は、山全体が神体として崇められており、山中には磐座が祀られていたという記録も残っています。

また、717年には元正天皇がこの山の泉で手や顔を洗ったところ、肌が滑らかになり、病が治ったという伝説があり、この出来事が年号を「養老」に改めるきっかけになったと伝えられています。

江戸時代後期の絵師、谷文晁は『日本名山図会』の中で、南西からの多度山の絵図を描きました。

自然と環境

多度山は伊勢湾に近く、温暖な気候が特徴です。冬に雪が積もることは少なく、温暖な気候を利用して、東斜面ではみかんの栽培が盛んです。また、柿の生産地としても知られています。

山頂まで車道が通じていますが、一般車両の通行は禁止されており、自然が保護されています。中腹には多度峡があり、川を堰き止めて作られた天然プールなどがあります。

多度山上公園

山頂は「多度山上公園」として整備されており、トイレ、遊具、展望台、東屋、ベンチなどが設置されています。ハイキングコースは初心者向けで、地元の子どもたちの遠足などにも利用されています。園内には高峯神社があり、西奥には多数の電波塔が設置されています。

また、山上公園の南東にはハンググライダーの滑空場があります。

動植物

山中にはニホンザルやニホンジカなどの野生動物が生息しており、遊歩道では、シジュウカラ、メジロ、ヤマガラなどの野鳥を観察することができます。山腹には林道が整備され、スギなどの針葉樹林が多いですが、一部には竹林も見られます。遊歩道周辺にはウメ、サクラ、モミジなどが植えられ、四季折々の景観を楽しむことができます。

多度のイヌナシ自生地

多度大社の奥、八壺谷のアカマツ林の中、みどりヶ池周辺には、東海地方のみに分布する絶滅危惧種のマメナシ（別名イヌナシ）の自生地があります。面積は約3,182平方メートルと日本最大規模で、2010年に国の天然記念物に指定されました。

ハイキングコース

多度山周辺には、桑名市によって整備された多くのハイキングコースがあり、年間を通して多くのハイカーが訪れます。山頂の展望台からは、濃尾平野、木曽三川、伊勢湾などを見渡すことができます。

主なハイキングコースは以下の通りです。

眺望満喫コース: 多度駅から多度山上公園まで、約4,520mのコース。ハイキングやサイクリングに最適です。
木曽三川交流コース: 多度駅から木曽三川公園センターまで、約3,520mのコース。
瀬音の森コース:
親水コース: 多度峡から多度山上公園まで、約6,460mのコース。
街並コース:
のんびりコース: ポケットパーク駐車場から多度大社まで、約1,420mのコース。
健脚コース: 愛宕神社から多度山上公園まで、約1,680mのコース。
いにしえコース:
城跡コース:
養老山地縦走路: 多度山の北側の石津御嶽からの縦走コース。養老鉄道の石津駅からアクセスできます。

地理

多度山は養老山地の南端に位置し、山頂部は桑名市にあります。養老山地の中間には二之瀬越の鞍部があり、二之瀬越から南側は多度山系と呼ばれています。多度山系の最高点は、点名が「田代」の三等三角点（標高694.01m）です。員弁川を挟んで西には鈴鹿山脈がそびえています。

周辺の山

多度山の周辺には、以下の山々があります。

石津御嶽
養老山

源流の河川

多度山を源流とする揖斐川の支流は、伊勢湾に流れ込んでいます。

多度川
山除川

交通アクセス

養老鉄道養老線 多度駅より北西へ約1.8km
東名阪自動車道 桑名東ICより北西へ約7.3km

多度山は、豊かな自然と歴史に触れられる、魅力的な山です。ぜひ一度訪れてみてください。

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