宇宙空母ブルーノア

宇宙空母ブルーノア：海洋冒険SFアニメの傑作

概要

1979年10月13日から1980年3月29日まで、読売テレビ放送系列で放送されたSFアニメ『宇宙空母ブルーノア』。全24話（地域によっては第1話の2時間スペシャル放送の影響で27話）構成の、海洋冒険と戦争をテーマにした作品です。企画・原案・製作は、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズで知られる西崎義展氏が率いたアカデミー制作が担当しました。日本のみならず、イギリス、イタリア、ギリシャなど世界各国でも放映され、英語圏では“THUNDERSUB”のタイトルで親しまれました。

『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの成功を受け、そのスタッフも多く参加した本作は、いわば「ポスト・ヤマト」作品の一つと位置づけられます。東映動画出身のスタッフが多数参加し、安彦良和氏も企画段階に関わっていましたが、『機動戦士ガンダム』の制作により降板しています。

興味深いのは、タイトルにも関わらず、主人公が搭乗する潜水艦「シイラ」が物語の中心となっている点です。空母「ブルーノア」は、シイラの移動基地としての役割が大きく、宇宙空母となるのは物語終盤です。舞台の大半は地球上の海であり、これは西崎氏の「海洋ものを制作したい」という希望が反映された結果です。田中光二氏のSF海洋冒険小説『わが赴くは蒼き大地』が企画の出発点となり、科学ライター金子隆一氏のSF考証も加わって、質の高い作品に仕上がっています。「ポスト・ヤマト」作品の中でも高い評価を得ている作品の一つと言えるでしょう。キャラクターデザインは羽根章悦氏、脚本は松岡清治氏が担当し、『海のトリトン』のスタッフが再集結しています。「海洋ものだけでは上層部が企画を通さない」という理由から、「宇宙空母」というタイトルになったという逸話も残されています。

声優陣は青二プロダクションが中心で、アニメソング歌手水木一郎氏が声優に初挑戦した作品としても知られています。主題歌はアイドルの川崎麻世氏が担当しました。当初は全39話を予定していましたが、全24話に短縮されたため、ストーリーがやや駆け足気味に展開している点も特徴です。


設定とストーリー

本作の舞台は、公式設定では2052年。外宇宙から飛来した「ゴドム人工惑星」の地球周回軌道への停止により、ポールシフトなどの天変地異が発生、地殻変動によって、アジアとオーストラリアが地続きになったり、中央アメリカが水没するなどの地球環境の激変が起きています。地球はゴドム人の侵略を受け、人類の9割が失われます。生き残った者たちは地球救出組織「マルス」を結成し、世界各地に抵抗拠点「ポイント」を設けます。

物語は、小笠原諸島の海洋開発研究センター（ポイントN1）で建造されていた戦略空母「ブルーノア」の進水から始まります。完成率9割の状態でしたが、人類を救うべく出撃。ゴドムの太平洋各地の基地を破壊し、地球の解放を目指します。

主人公の日下真は、ゴドムの襲撃で両親を失いますが、父親の遺言を胸に、友人や知り合った少女・土門慶（ケイ）と共にポイントN1を目指し、ブルーノアを起動させます。ブルーノア乗組員となった真たちは、小型潜水艦「シイラ」に乗り込み、ゴドムと激しい戦いを繰り広げます。物語終盤、大西洋バミューダ沖の原子物理学研究センター（ポイントN9）で建造中の反重力エンジンを装備、ブルーノアは宇宙空母へと進化し、軌道上のゴドム人工惑星に挑みます。


登場人物

本作の主要登場人物は、日下真、土門慶（ケイ）、土門鋭（ブルーノア艦長）、清水忠治（ブルーノア戦務長、のちシイラ艦長）、和泉洋といった若者たちです。彼らは、ゴドムの侵略という厳しい状況の中で、それぞれの役割を果たしながら成長していきます。特に、日下真は、当初は若さゆえの未熟さも見せるものの、経験を積むごとにたくましくなっていきます。土門艦長は、ケイの父親であり、厳しいながらも部下への信頼は厚く、リーダーとしての資質を備えた人物として描かれています。


登場兵器とメカニック

本作には、ブルーノア、シイラ、戦闘ヘリコプター「バイソン」、艦載戦闘機、様々なゴドムの兵器など、魅力的なメカニックが多数登場します。ブルーノアは、潜水艦と空母を兼ね備えた巨大な艦船で、様々な兵器を装備しており、物語の後半では反重力エンジンを搭載し宇宙空母として活躍します。シイラは、ブルーノアに搭載された小型潜水艦で、高い機動力を活かして様々な任務をこなします。ゴドム側は、海面効果船や宇宙戦艦など、地球側とは異なる兵器体系を展開し、激しい戦闘シーンを彩ります。


その他

本作は、小説版、コミック版、ムック本、絵本など、様々なメディアミックス展開も行われました。また、主題歌は川崎麻世氏が担当し、オリジナルサウンドトラックも発売されています。DVD-BOXも発売されており、現在でも多くのファンに愛される作品となっています。


制作スタッフ

企画・原案・製作：西崎義展
プロデューサー：飯島敬
チーフディレクター：棚橋一徳、勝間田具治
脚本：山本英明、松岡清治、山田隆司
総作画監督：小泉謙三
キャラクターデザイン・作画監督：羽根章悦
音楽：平尾昌晃、宮川泰


まとめ

『宇宙空母ブルーノア』は、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの流れを汲みつつも、独自の海洋冒険SFとして高い評価を得た作品です。緻密なメカニックデザイン、魅力的なキャラクター、そしてスリリングなストーリー展開は、多くの視聴者の心を掴みました。現在でも、その魅力は色褪せることなく、多くのファンを魅了し続けています。

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