富山県水墨美術館

富山県水墨美術館：近代水墨画と自然の調和が織りなす空間

富山県富山市五福にある富山県水墨美術館は、近代日本水墨画を専門とする公立美術館です。雄大な立山連峰を望む静謐な環境に位置し、近代水墨画の巨匠たちの作品と、日本の伝統美が融合した独特の空間を創出しています。

近代水墨画の粋を集めて

美術館の大きな特徴は、富岡鉄斎、横山大観、竹内栖鳳といった近代水墨画の巨匠たちの作品を数多く収蔵している点です。特に、富山県砺波市出身の日本画家・下保昭の作品は、美術館の重要なコレクションとして、常設展示室で体系的に紹介されています。これらの作品を通して、近代水墨画の豊かな表現世界を体感することができます。

しかし、水墨画のみならず、染織や陶芸など、日本の美術・工芸史を広く捉えた企画展も定期的に開催されており、多角的な視点から日本の伝統文化に触れる機会を提供しています。

美術館の建築と庭園

美術館の建物は、和風寄棟造りの鉄筋コンクリート平屋建てで、瓦葺きのL字型をしています。約100メートルに及ぶガラス張りの回廊が、各展示室を繋いでおり、その廊下からは、美術館敷地内の広大な日本庭園を眺めることができます。

庭園には、富山県さくら名所70選にも選ばれたベニシダレ桜が咲き誇り、春には神通川の桜並木とのコラボレーションも楽しめます。また、美術館の奥には、数寄屋造りの離れと茶室「墨光庵」があり、無料で鑑賞できるほか、抹茶の提供や茶室の貸出しも行っています。静かな空間で抹茶を味わうことで、より深く日本の文化に浸ることができます。

回廊からは、雄大な立山連峰を望むことができ、ベンチに座って景色を堪能したり、回廊を散策したりすることも可能です。展示室以外の空間は無料で利用でき、ゆったりと落ち着いた時間を過ごすことができます。ロビーや展示室を繋ぐ廊下には、ブビンガの一枚板を使用したベンチがあり、その中にはパリのルーブル美術館の敷石を再利用したものもあります。これらの細部にも、美術館のこだわりが感じられます。

主要収蔵作品

美術館には、狩野探幽、岸駒・岸岱、菱田春草、東山魁夷といった巨匠たちの作品に加え、富岡鉄斎、竹内栖鳳、横山大観の作品も多数収蔵されています。下保昭の作品は154点にも及び、その体系的な展示は必見です。その他にも、多くの著名な日本画家の作品が収蔵されており、近代日本画の歴史をたどる上で貴重な資料となっています。

施設とアクセス

美術館には、エントランスホール、常設展示室、企画展示室（2室）、映像ホール、情報コーナー・図書室、茶室「墨光庵」、ミュージアムショップ「風花」、そして広大な中庭などがあります。

アクセスは、富山地方鉄道富山軌道線、富山地方鉄道バス、市内周遊ぐるっとBUSを利用できます（ただし、「ぐるっとBUS」は2021年6月28日より運休中）。駐車場も完備されています。

開館時間は9時30分から18時まで（入館は17時30分まで）、休館日は月曜日（祝日は開館）、祝日の翌日、年末年始です。常設展示室の観覧料は一般200円、大学生160円、高校生以下は無料です。企画展は別料金となります。

まとめ

富山県水墨美術館は、近代水墨画を深く理解し、日本の伝統文化に触れたい方にとって最適な場所です。美しい景観と静謐な空間の中で、日本の美術を堪能できるでしょう。

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