尾道市立美術館

尾道市立美術館：安藤忠雄建築と桜の名所が織りなす文化空間

尾道市立美術館は、広島県尾道市、千光寺公園（千光寺山）という風光明媚な場所に位置する市立美術館です。1980年の開館以来、地域文化の発信地として親しまれてきました。

安藤忠雄設計による現代建築と歴史的建造物の融合

美術館は、本館と新館の2つの建物で構成されています。本館は、旧NHK尾道放送局跡地を改築したもので、寄棟造・本瓦葺の屋根が特徴的な、国重文・西郷寺本堂を模した設計となっています。重厚な佇まいの中に、カフェやミュージアムショップ、尾道水道を見渡せるロビーが設けられ、来館者を出迎えます。
一方、新館は世界的建築家、安藤忠雄氏の設計によるものです。安藤建築の特徴である、打放しコンクリートとガラス張りの四角い建物は、洗練された現代建築の美しさを際立たせています。新館はすべて展示室となっており、本館とは対照的な空間が、来館者に多様な印象を与えます。本館と新館は、それぞれの個性を持ちながらも調和し、歴史と現代が融合した独特の空間を生み出しています。

多彩なコレクションと展示

尾道市立美術館では、国内外の優れた美術作品を展示する企画展が開催されています。特に、尾道ゆかりの画家の作品は、この美術館ならではの貴重なコレクションです。小林和作、森谷南人子、平田玉蘊、平松純平、西原務、奥山民枝といった尾道ゆかりの画家たちの作品を通して、地域の芸術文化の歴史に触れることができます。また、尾道市の姉妹都市であるフランスのオンフルール市との交流を背景に、ジョルジュ・ルオー、カルル・ドービニー、エマニュエル・ダモアなど、フランス絵画も展示されています。

桜の名所と美術館周辺の魅力

美術館のある千光寺公園は、春には桜の名所として知られています。美術館周辺には、珍しい鬱金桜や御衣黄桜といった桜の木が植えられており、開花時期には、美術館を訪れる人々の目を楽しませます。また、南側斜面には、KINCHOにより除虫菊（旧因島市の市花）が植えられており、四季折々の変化に富んだ景観を堪能できます。
さらに、美術館周辺には、話題の黒猫「ケンちゃん」がいます。近くのレストランに住むケンちゃんは、美術館に入り込もうとして警備員に連れ出される姿が、マスコミやインターネット上で話題となっており、美術館の隠れた名物となっています。

アクセス

美術館へのアクセスは、JR山陽本線尾道駅からおのみちバス・中国バスを利用し「長江口」バス停下車後、千光寺山ロープウェイで3分、または徒歩で約20分です。車の場合は、しまなみ海道西瀬戸尾道インターチェンジから約20分、山陽自動車道福山西インターチェンジから約15分です。

沿革

尾道市制80周年を記念して1980年に開館した美術館は、その後、市制100周年としまなみ海道開通を機に、大規模な改修が行われました。安藤忠雄氏を設計者に迎え、歴史的建造物を生かした本館と、現代的な新館が融合した現在の姿となりました。この改修は、地域の芸術文化振興と都市再開発を目的とした「まちごと芸術・文化館構想」事業の一環として行われました。

尾道市立美術館は、安藤忠雄の建築、歴史的建造物、桜の名所、そして話題の黒猫「ケンちゃん」など、多くの魅力が詰まった美術館です。尾道を訪れた際は、ぜひ足を運んでみてください。

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