山形交響楽団

山形交響楽団（山響）について

山形交響楽団（通称：山響）は、山形県山形市を本拠地とするプロオーケストラです。1972年に創立され、日本オーケストラ連盟の正会員として活動しています。地域に根ざした活動を続け、その高い演奏水準は全国的にも評価されています。

創立と発展

創立者であり名誉指揮者の村川千秋氏の「故郷山形にオーケストラを」という熱い思いから、山形新聞グループや地元企業の支援を受け、1972年1月に誕生しました。発足当初から高い水準の演奏を追求し、地域住民の音楽文化向上に大きく貢献してきました。

経営危機と再生への取り組み

しかし、リーマンショック後の経済状況悪化や東日本大震災の影響により、演奏収入が激減。2014年には楽団員や事務局員の賞与が全額カットされるなど、経営危機に直面しました。この状況を打開するため、山形交響楽協会内に山響活性化委員会が設置され、赤字からの脱却に向けた検討が重ねられました。

その結果、定期演奏会の開催回数を見直し、経費削減に取り組むとともに、新たな収益源の確保を目指しました。具体的には、演奏会への集客を増やすための施策を打ち出し、経営委員会を新たに設置、地元関係者からの支援を受け、運営体制を強化しました。また、楽団員の定年制導入や、会員制度の拡充など、組織の活性化にも力を入れています。これらの改革により、2016年には3年ぶりに賞与が支給されるなど、経営状況は改善に向かっています。

多彩なコンサート活動

山響は、定期演奏会（年間16回）の他、庄内地域での定期演奏会、さくらんぼコンサート、やまぎんホールシリーズなど、様々なコンサートを開催しています。また、依頼演奏やスクールコンサートなど、地域密着型の活動も積極的に展開しており、その活動範囲は東北6県や新潟県にも広がっています。

主な主催公演

定期演奏会: 山形テルサで土日2日間開催。
庄内定期演奏会: 鶴岡市文化会館や酒田市民会館で開催。
さくらんぼコンサート: 東京や大阪でも開催。
やまぎんホールシリーズ: 様々なテーマで開催。
ユアタウンコンサート: 米沢市、村山市、南陽市、新庄市など県内各地で開催。

その他の公演

依頼演奏会（年間約30回）
スクールコンサート（年間約100回）
東京公演（過去8回）
海外公演（過去1回）

ユニークな企画と活動

山響では、演奏会以外にも様々な企画や恒例行事が行われています。

プレトーク: 定期演奏会開演前に指揮者による解説を実施。
終演後交流会: 指揮者、ソリスト、楽団員が参加。
新作発表: コンポーザー・イン・レジデンス（専属作曲家）への作品委嘱や、山響作曲賞21の開催。
モーツァルト定期: モーツァルトの全交響曲を8年かけて演奏・録音し、CD全集を発売。これは日本人初の快挙となりました。
自主レーベル「YSO-ライヴ」: シューマンやハイドンなどのCDを発売。

また、オペラへの出演や、県内各地での室内オペラプロジェクトへの参加など、活動の幅を広げています。

室内楽活動

山響の楽団員による室内楽活動も活発です。山形弦楽四重奏団、ベルク木管五重奏団、Trio Resonanceなどのグループが、県内各地で演奏会を開催し、地域住民との交流を深めています。

歴史

1972年: 東北初のプロオーケストラとして発足。
1979年: 一部楽団員が宮城フィルハーモニー管弦楽団に移籍。
1988年: 合唱団として山響楽友合唱団が発足。
2016年: 創立250回定期演奏会を開催。
2022年: 創立300回定期演奏会を開催。

これまでの主な参加イベント

コロラド・ミュージック・フェスティバル（アメリカ）
地方都市オーケストラ・フェスティバル
仙台クラシックフェスティバル
仙台国際音楽コンクールバイオリン部門予選の協奏曲伴奏
アフィニス夏の音楽祭2010山形

受賞歴

山形県芸術文化会議賞
齋藤茂吉文化賞
河北文化賞
サントリー地域文化賞
地域文化功労者文部科学大臣表彰

指揮者

山響は、これまで数多くの優れた指揮者を迎え、素晴らしい演奏を届けてきました。初代音楽監督の村川千秋氏をはじめ、内藤彰氏、渡部勝彦氏、佐藤寿一氏、黒岩英臣氏、工藤俊幸氏、飯森範親氏、阪哲朗氏、大井剛史氏、鈴木秀美氏、ミハウ・ドヴォジンスキ氏、ラデク・バボラーク氏などが、山響の歴史を彩っています。

関連書籍

『山形交響楽団40年史 : 無から有へ』
『山形交響楽団20年史 : 1972～1992』
『「マエストロ、それはムリですよ・・・」 ~飯森範親と山形交響楽団の挑戦~ 』

まとめ

山形交響楽団は、地域に根ざした活動を続けながら、高い演奏水準を維持しているプロオーケストラです。近年は経営危機を乗り越え、新たな事業展開にも挑戦しています。地域住民に愛されるオーケストラとして、これからも素晴らしい音楽を届けてくれるでしょう。

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