山形美術館

山形美術館：東北を代表する美術の殿堂

山形美術館は、山形県山形市に位置する、公益財団法人山形美術館が運営する美術館です。1964年8月の開館以来、半世紀以上にわたって、地域に根ざした美術活動に貢献し続けてきました。

開館から現代まで

その歴史は、山形新聞グループの服部敬雄氏らの尽力によって始まりました。当初は、財団法人山形美術博物館として、日本画を中心としたコレクションで開館しました。その後、1971年には県立博物館に博物館機能を移管し、美術品専門の美術館へと発展を遂げ、1979年には現在の名称に改称されました。

1985年には、開館20周年を記念して、地下1階地上3階の新館がオープン。この改築を機に、荻須高徳氏の指導による服部コレクションや、吉野石膏からの寄託作品など、フランス近代絵画を中心とした充実したコレクションが加わり、美術館は新たな魅力を獲得しました。これにより、東北地方を代表するフランス近代絵画の美術館としての地位を確立しました。

しかし、新館建設過程では、急な計画変更や補助金の増額といった問題も発生し、美術館の私物化といった批判も生じました。服部氏存命中は、収蔵品が関係企業に優先的に貸し出されることもありました。現在は、公益財団法人として、より透明性と公共性の高い運営を目指しています。

多彩なコレクションと展示

山形美術館は、多様なコレクションを誇り、それぞれの展示室で独自のテーマを展開しています。

長谷川コレクション室では、長谷川家によって収集された江戸時代の狩野派、文人画、円山四条派の作品を系統的に展示。

新海竹太郎・新海竹蔵彫刻室では、山形市出身の近代彫刻家、新海竹太郎とその甥である新海竹蔵の作品が展示され、彼らの芸術的功績を伝えています。

服部コレクション－20世紀フランス絵画は、服部敬雄氏の功績を称え、フランス絵画60点とロダン、マイヨール、ブールデルなどの彫刻を展示。フランス近代絵画の精華を鑑賞できます。

吉野石膏コレクション－珠玉のフランス近代絵画は、吉野石膏が収集したバルビゾン派、印象主義、キュビスムなど、多様な様式によるフランス近代絵画の傑作を展示し、近代美術史の流れを垣間見ることができます。

これらのコレクションに加え、国の重要文化財である与謝蕪村筆『紙本淡彩奥の細道図』なども所蔵しており、その質の高さが伺えます。

山形文化の拠点として

山形美術館は、単なる美術品の展示施設にとどまらず、地域文化の活性化にも貢献しています。ワークショップや講演会などのイベントも開催され、美術を通じた地域交流を積極的に行っています。開館50周年を迎えた現在も、東北の美術文化の中心として、その役割を担い続けています。 今後も、新たなコレクションの充実や、より魅力的な展示の企画を通して、多くの人々に感動と発見を提供し続けることでしょう。

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