岡寺

岡寺について

岡寺（おかでら）は、奈良県高市郡明日香村岡に位置する真言宗豊山派の寺院であり、山号は東光山、院号は真珠院と称されています。特徴的な本尊は、如意輪観世音菩薩（如意輪観音）であり、これは日本最大の塑像として知られています。また、岡寺は龍蓋寺（りゅうがいじ）としても知られており、正式には東光山真珠院龍蓋寺と呼ばれます。ここは西国三十三所の第7番札所としても有名です。

本尊の真言は「おん はんどめい しんだまに じんばら うん」で、寺院のご詠歌には「けさみれば露岡寺の庭の苔 さながら瑠璃の光なりけり」があります。

歴史

岡寺の歴史は古く、『東大寺要録』の「義淵伝」や『扶桑略記』によると、天武天皇の皇子で早世した草壁皇子の住居跡に、義淵僧正がこの寺を創建したとされています。この際、同時に龍門寺などが建立されました。岡寺の存在が文献で初めて確認されたのは、天平12年（740年）の写経所啓であり、歴史的な重要性を一層強調します。

岡寺は、現在の位置は明日香村の東に位置し、岡山の中腹に建っています。また、隣接する治田神社の境内からは奈良時代前期の古瓦が発掘されており、当初の岡寺が現・治田神社の位置にあったと推定されています。この寺跡は2005年に「岡寺跡」として国の史跡に指定されました。

義淵僧正が地元の民を苦しめていた悪龍を池に封印した後、当寺は「日本最初のやくよけ霊場」とされ、その信仰は鎌倉時代には広がっていました。義淵は法相宗の祖であり、彼の門下には東大寺の創設に携わった良弁、行基などが名を連ねていました。そのため、岡寺は法相宗の興福寺の末寺として位置づけられています。江戸時代には法住が住職として入山し、寺を復興させ、現在の真言宗豊山派に属することとなりました。

寺号について

岡寺には「岡寺」と「龍蓋寺」の二つの寺号が存在しています。「岡寺」は地名に基づく名称で、「龍蓋寺」は創建時の正式な名前とされています。仁王門の前には「西国七番霊場 岡寺」という石柱があり、通常は「岡寺」という名称が一般に使われています。宗教法人としても「岡寺」として登録されており、重要文化財建造物の指定名も「岡寺仁王門」「岡寺書院」となっています。「龍蓋寺」という名前は、龍蓋池に封じられた龍の伝説に由来しています。

境内

岡寺の境内には多くの重要な建造物や文化財があります。

• - 本堂: 文化2年（1805年）に再建され、本尊の塑像である如意輪観音坐像が安置されています。
• - 開山堂: 寛政9年に建立され、その後移築されました。
• - 古書院: 重要文化財として指定されており、寛永21年（1644年）に建立されました。
• - 仁王門: 重要文化財であり、慶長17年（1612年）に再建されています。
• - 龍蓋池: 寺の由来となった池で、義淵僧正にまつわる伝説が存在します。
• - 三重塔: 文明4年に倒壊した後、1986年に再建されました。

また、数々の文化財も充実しています。国宝の木心乾漆義淵僧正坐像や、重要文化財に指定された仁王門、塑造如意輪観音坐像、銅造菩薩半跏像などが存在します。その他にも、特記事項として、岡寺跡は国の史跡にも指定されています。

交通アクセス

岡寺へのアクセスは、近鉄橿原神宮前駅東口や飛鳥駅から奈良交通の明日香周遊バスを利用することができます。最寄りのバス停は「岡寺前」で、歩いて約10分の距離です。桜井駅からも行くことができ、「治田神社前」下車後、徒歩7分で到着します。

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