島津斉興

島津斉興（しまづ なりおき）について

概要

島津斉興は江戸時代後期に活躍した外様大名で、薩摩藩の10代藩主として知られています。彼は文化元年（1804年）に元服し、斉宣の長男として家督を受け継ぎました。斉興は生涯を通じて、藩の財政改革や跡継ぎ問題、さらには幕末の混乱期における重要な決定に関与しました。

生い立ちと家督相続

斉興は、寛政3年（1791年）に江戸で誕生しました。母方の家族と島津家との間に起こった諍いも彼の生い立ちに影を落としていました。文化6年（1809年）、父が隠居したため、斉興は藩主となりますが、初期には実権を重豪に握られていました。天保4年（1833年）に重豪が亡くなり、ようやく独自の藩政を展開することが可能になりました。

財政改革

斉興は重用した調所広郷と共に、借金の返済方法や密貿易、砂糖の専売などを行い、薩摩藩の財政を驚異的に改善しました。しかし、嘉永元年（1848年）には密貿易の問題に直面し、調所が急死する悲劇に見舞われます。斉興は彼に対する責任を一身に背負い、精神的な苦悩を味わいました。これを機に、斉興は更なる対外政策にも力を入れ、洋式砲術の導入や大砲の製造に取り組みました。

お由羅騒動

斉興の跡継ぎを巡る問題は、藩内でも大きな争いを引き起こします。嫡子である斉彬と側室の子である久光の対立が顕著となり、嘉永2年にはお由羅騒動が発生しました。この事件は、斉彬を支持する勢力と久光派との間の緊張を引き起こすもので、さらなる家族内の争いを生むこととなります。最終的に、嘉永4年、斉興は藩主の座を斉彬に譲ることになりました。

晩年と死

斉興は隠居後も多くの活動を続けましたが、安政5年（1858年）には斉彬が急死し、再び藩政に関与することになります。その後も藩政を掌握し、安政の大獄では月照を保護することを拒否するなど、保守的な政策を行いました。そして、安政6年に病によりこの世を去ります。

斉興の人物像と業績

斉興は斉彬を溺愛しながらも、藩内の対立を生む要因となってしまいました。しかし、その一方で、経済復興に大きく寄与したことは彼の評価の根幹をなします。また、斉興は密教に興味を持ち、宗教的な側面でも独自の考えを持っていました。彼は「直看秘法」という秘法を信じ、自身の手で伝承の文書をまとめたことでも知られています。

まとめ

島津斉興は、薩摩藩の繁栄と内政の混乱をうまく絡ませた複雑な政治家でした。彼の改革は後の薩摩藩の財政基盤を築くこととなります。斉興の生涯は、藩主としての責務と家族間の葛藤の両立について、多くを物語っています。

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