常磐バイパス

常磐バイパス

常磐バイパスは、福島県いわき市内を南北に縦断する国道6号のバイパスです。このバイパスは、いわき市における主要な交通網の中核を担っており、全線が国土交通省によって直轄管理されています。

概要

常磐バイパスは、旧国道6号の交通量増加に伴う渋滞を解消するために計画されました。大部分が片側2車線以上で構成され、全長は約28kmに及びます。このバイパスは、地域高規格道路「いわき東道路」の一部を構成する予定であり、その全線が1998年に候補路線として指定を受けました。

2000年に全線が開通した後も、4車線化や交差点の立体化などの工事が進められてきました。信号機が少なく立体交差が多いため、車両の流れが比較的スムーズである点が特徴です。特に、飯田交差点から終点の神谷JCTまでの区間や、久世原団地から平下神谷にかけての区間は、平面交差がないように設計されています。火葬場の入口でさえ立体交差になっているほどです。

2010年代以降は、全線4車線化に向けた拡幅事業が本格的に進められました。小名浜港国際物流ターミナルの整備やイオンモールいわき小名浜の開業といった地域のイベントによる交通量増加に対応するため、2018年には一部区間が4車線で供用開始されました。しかし、水戸方面へ向かう場合、常磐バイパスを過ぎると茨城県内の2車線区間のため渋滞が発生しやすい状況です。

かつては、並行する旧道の一部が県道として残っていましたが、2018年4月1日より、残りの並行する現道区間も県道と国道399号に指定が変更されました。

路線データ

起点: 福島県いわき市勿来町四沢（四沢交差点）
終点: 福島県いわき市平下神谷（下神谷交差点）
延長: 27.7km
規格: 第3種第1級
標準道路幅員: 25.0m
車線数: 4車線
車線幅員: 3.5m
設計速度: 80km/h

歴史

1960年代、モータリゼーションの進展に伴い、国道6号の交通渋滞が深刻化していました。いわき市が新産業都市に指定されたこともあり、将来的な交通量増加が見込まれ、バイパスの必要性が高まりました。1966年に事業化され、市街地を避けたルートが選定されました。

当初は鹿島町までの計画でしたが、1973年に平下神谷まで延伸されました。1968年に用地買収が開始され、1972年に一部区間が開通。その後も整備が進められ、2000年に全線が暫定開通しました。2018年度には全線4車線化が完了し、現在に至ります。

年表

1966年度: 常磐バイパス（勿来 - 鹿島）事業化
1968年度: 用地買収に着手
1969年度: 着工
1972年12月20日: いわき市勿来町四沢 - いわき市佐糠町碇田（3.64km）開通
1973年度: 終点を平下神谷まで延長する計画に変更
1977年12月23日: いわき市佐糖町碇田 - いわき市泉町下川（6.02km）開通
1978年8月10日: いわき市泉町下川 - いわき市泉町滝尻（1.31km）開通
1979年12月25日: いわき市泉町滝尻 - いわき市南富岡（1.4km）開通
1981年3月27日: いわき市南富岡 - いわき市小名浜住吉（2.26km）開通
1983年3月30日: いわき市小名浜住吉 - いわき市常磐三沢（3.4km）開通
1985年8月10日: いわき市常磐三沢 - いわき市自由ヶ丘（3.03km）開通
1989年3月18日: いわき市自由ヶ丘 - いわき市平下荒川（0.66km）開通
1990年3月30日: 宮ノ下交差点（いわき市）立体化完成
1992年3月26日: 六枚内交差点（いわき市）立体化完成
1996年8月2日: いわき市平荒田目 - いわき市平下神谷（0.94km）開通
2000年3月28日: いわき市平下荒川 - いわき市平荒田目（5.02km）開通により全線開通
2002年12月17日: 常磐上矢田[[交差点]]立体化完成
2003年3月31日: 小名浜住吉交差点（いわき市）立体化完成
2007年3月19日: いわき市常磐三沢町 - いわき市常磐上矢田町間（2.3km）が4車線拡幅
2015年3月16日: いわき市泉町下川 - いわき市泉町滝尻間（1.3km）が4車線拡幅
2015年9月8日: いわき市錦町中迎 - いわき市佐糠町碇田間（1.4km）が4車線拡幅
2016年3月15日: いわき市錦町雷 - いわき市錦町中迎間（1.4km）が4車線拡幅
2018年3月30日: いわき市平下荒川 - いわき市平下神谷（6.0km）が4車線拡幅。
2018年4月1日: いわき市小名浜住吉町 - いわき市平下神谷間の並行する現道区間が国土交通省管理から福島県管理に移行

旧道

常磐バイパスの開通に伴い、旧道の一部は県道や市道、国道399号に指定が変更されました。主な旧道は以下の通りです。

勿来町四沢（四沢交差点） - 植田町中央（植田町交差点） - 福島県道56号常磐勿来線
植田町中央（植田交差点） - 平十五町目（十五町目交差点） - 福島県道20号いわき上三坂小野線
小名浜住吉（住吉交差点） - 常磐下船尾町（下船尾交差点） - 福島県道66号小名浜小野線
平十五町目（十五町目交差点） - 平下神谷 - 国道399号

路線状況

常磐バイパスは福島県内でも有数のバイパス路線であり、交通量が多いのが特徴です。特に、錦町中迎から平下神谷までの区間は、信号付き交差点が少なく、立体交差が多いものの、夕方には渋滞が発生しやすい状況です。

道路管理者

全線: 国土交通省東北地方整備局磐城国道事務所

交通量

平日24時間交通量（台） 道路交通センサス（2005年）

いわき市泉町下川字須賀蛭: 37,705
いわき市常磐松久須根町宮ノ作: 42,662
いわき市平中山字矢ノ倉: 20,935
いわき市平菅波字菅波入: 21,735
いわき市平山崎字馬場: 22,291

主な道路施設

常磐バイパスには、多くの橋梁、トンネル、高架橋などの道路施設があります。以下に代表的な施設をいくつか紹介します。

蛭田川橋: 2003年竣工。蛭田川を渡る橋梁。
雷跨道橋: 2019年、2003年竣工。国道289号を渡る立体交差。
錦成沢橋: 2015年竣工。中田川を渡る橋梁。
鮫川大橋:鮫川を渡る橋梁。
植田跨道橋: 2015年、1971年竣工。市道南町東荒田線を渡る立体交差。
佐糠橋: 2015年、1971年竣工。渋川を渡る橋梁。
佐糠跨道橋: 2015年、1977年竣工。県道10号、239号を渡る立体交差。
東田跨道橋: 2002年、1976年竣工。市道東田町佐糠町線を渡る立体交差。
中ノ作橋: 2003年、1973年竣工。渚川を渡る橋梁。
宮ノ下高架橋: 2015年、1988年竣工。市道、臨港道路、宝珠院川などを渡る高架橋。
宝珠院川橋: 1976年竣工。宝珠院川を渡る橋梁。
新泉橋: 2011年、1973年竣工。釜戸川を渡る橋梁。
六枚内高架橋: 2015年、1991年竣工。市道渚滝尻線を渡る高架橋。
泉跨道橋: 2001年、1978年竣工。県道15号を渡る立体交差。
泉跨線橋: 2001年、1979年竣工。福島臨海鉄道本線を渡る跨線橋。
南富岡トンネル: 2004年、1980年竣工。開削工法で建設されたトンネル。
南富岡橋: 2002年、1974年竣工。藤原川を渡る橋梁。
住吉高架橋: 2002年、2001年竣工。県道66号を渡る高架橋。
金成川橋: 2000年、1981年竣工。金成川を渡る橋梁。
三沢大橋: 2006年、1981年竣工。三沢川、県道48号などを渡る橋梁。
戸ノ作橋: 2006年、1983年竣工。戸ノ作池を渡る橋梁。
松久須根大橋: 2005年、1982年竣工。松久須根川を渡る橋梁。
上矢田Aランプ橋・Dランプ橋: 2003年竣工。常磐上矢田[[交差点]]のランプウェイ橋。
獺沢橋: 2002年、1985年竣工。矢田川を渡る橋梁。
上荒川こ道橋: 2003年、1984年竣工。市道十五町目若葉台線を渡る跨道橋。
久世原トンネル: 1999年竣工。開削工法で建設されたトンネル。
不動橋: 2018年、1989年竣工。滑津川を渡る橋梁。
中山跨道橋: 2018年、1990年竣工。県道241号を渡る跨道橋。
菅波大橋: 2018年、1999年竣工。鋼上路式ローゼ橋。
夏井甲塚跨道橋: 2017年、1999年竣工。県道229号を渡る跨道橋。
夏井川橋: 1999年竣工。神谷立体交差点のランプウェイ橋。
神谷こ道橋: 1994年竣工。神谷立体交差点のランプウェイ橋。

これらの施設は、常磐バイパスの円滑な交通を支える上で重要な役割を果たしています。

脚注

注釈

出典

関連項目

日本のバイパス道路一覧
東北地方の道路一覧

外部リンク

国土交通省 磐城国道事務所

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