庄内映画村

庄内映画村：映画制作と観光の軌跡、そして新たな展開

庄内映画村は、山形県鶴岡市に存在した大規模な映画撮影スタジオでした。映画制作の誘致と地域活性化を目指し、2006年に設立されました。セディックインターナショナルという映画製作会社が土地と建物を所有し、地元企業の参加による「庄内映画村株式会社」が運営管理を行っていました。

庄内映画村は、88ヘクタールという広大な敷地に、時代劇撮影に最適なオープンセットを備えていました。漁村、農村、宿場町、山間集落など、多様なロケーションが再現されており、多くの映画やドラマの撮影に利用されました。2009年からは観光施設として一般公開され、多くの観光客が訪れていました。

設立の背景には、映画監督黒土三男氏の作品『蟬しぐれ』の制作があります。この作品に携わったIT企業社長の宇生雅明氏が、庄内地方の住民や企業の後援を得て、映画村の建設を推進したのです。

しかし、集客数の伸び悩みや設備投資回収の困難さから、庄内映画村株式会社は経営難に陥りました。2014年には、オープンセットの管理運営をM＆N CO株式会社に譲渡し、「スタジオセディック庄内オープンセット」として営業を継続することになりました。庄内映画村株式会社は、資料館の運営のみを引き継ぎましたが、2019年12月には資料館も閉館しています。

2020年、庄内映画村株式会社は自己破産を申請、手続き開始決定を受けました。負債総額は2億7800万円にのぼりました。庄内映画村株式会社の破産により、かつて賑わった映画村は、新たな運営体制の下でその歴史を刻むこととなりました。

庄内映画村の主要施設

庄内映画村には、主に以下の2つの施設がありました。

庄内映画村資料館: 国の史跡である松ヶ岡開墾場の大蚕室を利用した資料館では、撮影で使用された小道具や資料が展示されていました。しかし、経営状況の悪化により閉館となりました。
庄内映画村オープンセット: 時代劇の撮影に必要な、市街地以外の様々なロケーションを再現したオープンセットです。2010年には、山形県内最後の銭湯として知られていた「鶴乃湯」（2009年廃業）が移築されるなど、特色ある施設でした。

撮影協力作品

庄内映画村は、数多くの映画やドラマ、バラエティ番組の撮影に協力しました。代表的な作品としては、以下のものがあります。

映画
スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ (2007)
山桜 (2008)
おくりびと (2008)
ICHI (2008)
山形スクリーム (2009)
スノープリンス 禁じられた恋のメロディ (2009)
座頭市 THE LAST (2010)
必死剣 鳥刺し (2010)
十三人の刺客 (2010)
デンデラ (2011)
赦免花 (2013)
おしん (実写映画版) (2013)
超高速!参勤交代 (2014)
るろうに剣心 京都大火編 (2014)
殿、利息でござる! (2016)
超高速!参勤交代 リターンズ (2016)
サムライマラソン (2019)
峠 最後のサムライ (2022)
レジェンド＆バタフライ (2023)
首 (2023)

テレビドラマ
タイムスクープハンター (NHK総合テレビ、2010)
勇者ヨシヒコシリーズ (テレビ東京系列、2011, 2012, 2016)

バラエティ
* 大脱出 (DMM TV、2023)

これらの作品は、庄内映画村のオープンセットの活用により、質の高い映像制作に貢献しました。

結論

庄内映画村は、映画制作と観光の融合を目指した取り組みでしたが、経営上の課題を克服できず、破産という結末を迎えました。しかし、その歴史は多くの映画作品に刻まれ、日本の映画史に貢献したことは間違いありません。現在は「スタジオセディック庄内オープンセット」として営業を継続しており、今後も映画制作を支える存在として期待されています。

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