度会常昌

度会常昌（わたらい つねよし）は、弘長3年（1263年）に生まれ、暦応2年/延元4年7月27日（1339年9月1日）に没した、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての神職であり、歌人です。幼名は常良といい、度会貞尚（良尚とも）の次男として、檜垣家で育ちました。

正応5年（1292年）に伊勢神宮の外宮禰宜に任じられ、その後、正和5年（1316年）には一禰宜に昇格しました。この間、神職として伊勢神道の発展に尽力し、その活動は多岐にわたりました。具体的には、慈遍が著した『旧事本紀玄義』の序文執筆を補佐するなど、神道研究にも深く関わりました。また、自ら『太神宮両宮之御事』を著し、阿野廉子に献上するなど、伊勢神道の普及に貢献しました。

常昌は神職としての活動に加えて、歌人としても才能を発揮しました。彼の詠んだ和歌は、勅撰和歌集である『玉葉和歌集』に収録されており、その高い文学的才能をうかがい知ることができます。神道と和歌という二つの分野で才能を発揮した常昌は、当時の文化人としても重要な存在であったと言えるでしょう。

さらに、常昌は著作活動も行っており、『服仮令』や『元徳渡会氏系図』といった著作も残しています。『服仮令』は神道における祭祀や儀礼に関する考察がまとめられたもので、『元徳渡会氏系図』は自身の家系をまとめたものです。これらの著作は、当時の神道や社会状況を理解する上で貴重な資料となっています。

度会常昌は、神職として伊勢神宮に奉仕する一方で、歌人や著述家としても活躍し、多方面で才能を発揮しました。彼の活動は、中世日本の文化や宗教に深く関わっており、その足跡は今日まで高く評価されています。伊勢神道の普及に貢献するとともに、和歌や著作を通して文化的な発展にも寄与した、多才な人物であったと言えるでしょう。

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