張松

張松（ちょう しょう）について

張松は、中国後漢末期の政治家で、字は子喬。彼は益州蜀郡の成都県出身で、兄に張粛、子または甥に張表がいます。主に『三国志』の蜀志に記載されています。彼の生涯は、劉璋への仕官、曹操との関係を巡る政治的な動き、そして劉備との関わりによって形作られました。

生涯の主要な出来事

張松は劉璋の下で別駕まで昇進します。劉璋が曹操の荊州制圧および関中支配を耳にした際、成都への侵攻を恐れ、曹操に対して使者を送り帰服を表明する決断をします。最初の二人の使者は歓迎されたものの、張松が送られた第三回目の使者は、曹操が劉備を相手に戦果を上げていたことから冷遇されました。このことに不満を抱いた張松は、劉璋に対して曹操と絶交し、劉備と協力する方針を提案しました。

張松はその後、法正と共に劉備の元へ使者として赴きます。この訪問では、張松は劉備から厚くもてなされ、益州の地理や軍事について詳細に説明しました。彼は的確な見識と判断力を持っていたとされ、また、その優れた知識が曹操から冷遇されながらも評価されたこともありました。特に、楊修とのやりとりでは、張松が曹操の兵法書を全て暗唱するという才能を見せ、楊修からの評価を高めました。

しかし、劉備が劉璋の支援を得て孫権や関羽の救援に向かう策を求める際、張松は彼の真意を推察できず、逆に劉備と法正を引き留めようと手紙を送ります。その結果、彼の行動が兄の張粛に密告され、最終的に劉璋の耳に入ることとなりました。これが張松の悲劇的な運命を招くことになります。

三国志演義における描写

小説『三国志演義』では、張松は別の設定で描かれています。彼は背が低く、出っ歯で鼻も低いため、見た目の印象が悪いキャラクターとして表現されています。物語の中で、漢中の張魯が西川に進軍するため、曹操を説得しようとしますが、冷遇されます。この際、彼は曹操に面会する中で、不遜な言動を繰り返し、百叩きの刑に処せられました。

その後、張松は魏から荊州の一行へ向かうことになりました。荊州では劉備の温かいもてなしに感銘を受け、「このような仁愛にあふれた人物を見捨てるわけにはいかない」と考え、四川を劉備に譲る決心を固めます。彼は携えていた「四川地理図」を劉備に贈呈し、友人の法正や孟達と共に、劉備を益州の新たな君主として迎えるための計画を立てました。

最終的には、酒の席で自分の計画が兄に見つかり、劉璋に密告された結果、劉璋の怒りに触れ、張松は妻子とともに処刑されました。張松の生涯は、政治的な計略や忠義心の交錯を示すものとして、後の時代に語り継がれることになります。

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