心電図

心電図（ECG）についての詳細な解説

心電図（しんでんず、英: electrocardiogram、略称：ECG）は、心臓の電気的活動を図として記録し、さまざまな心疾患の診断や治療に役立てる医療検査です。

心電図の歴史

心電図は1903年にオランダの生理学者ウィレム・アイントホーフェンによって最初に測定され、1924年にはその功績によりノーベル[[生理学・医学賞]]を受賞しました。その後、日本においても内科学者の呉建がこの検査を導入しました。

国際標準化

心電図の国際的な相互運用性向上のため、MFER（Medical waveform format）を使用し、ISO規格に基づく標準化作業が進められています。これにより、様々な医療施設間での情報連携が実現されつつあります。

心電図の記録方法

心電図の記録には、主に異なる場所に取り付けた電極を使用します。最も一般的な方法は12誘導心電図で、四肢に取り付けられた4本の肢誘導と、胸部に取り付けた6本の胸部誘導を用います。この組み合わせにより、心臓のあらゆる部位からの電気信号を取得できます。

1. 12誘導心電図

12誘導方法は、心臓の全体的な電気的状態を把握するために必要な波形を提供し、6つの胸部誘導と4つの肢誘導から計12種類の波形が得られます。

2. 食道内心電図

食道に電極を挿入し、心臓の背側の活動を直接記録します。これは、徐脈性不整脈の診断に特に有効です。

3. 心室内心電図

心カテーテルを通じて心室内に電極を配置し、心室や心房の詳細な電気的活動を観察します。この手法は、不正な信号の伝導経路の特定や、心臓に直接刺激を与えてその影響を確認する際に使用されます。

4. 心電図モニタリング

患者のバイタルサインを持続的に監視し、異常を早期に捉えるための装置です。これにより、心疾患や他の緊急事態に迅速に対応できます。

検査方法

心臓の働きは様々な状態に応じて変化します。そのため、安静時や運動中など条件を変えて心電図を取得することが臨床的には重要です。

1. 安静時心電図

安静状態で記録された心電図です。この時は外的な筋肉の電気的活動が影響を与えないため、純粋な心電波形が得られます。

2. 負荷心電図

心臓に負荷をかけた状態で心電図を記録することで、運動中の心臓の状態を観察します。特に狭心症の診断に役立ちます。

3. ホルター心電図

24時間連続して心電図を記録することで、日常生活における不整脈を捉えることができます。

4. 胎児心電図

妊婦の腹部に取り付けた電極によって胎児の心電図を取得し、先天性心疾患の診断に役立てられます。

心電図の解析

心電図は、各波形の形や時間的な関係を解析することで心臓の状態を把握することができます。具体的には、P波、QRS波、T波の大きさや形状、間隔、心拍数を数値化し、異常がないか評価します。特に、QRS波の幅やST部分の異常などは心疾患に特有の変化を示すため、非常に重要です。

心電図は心臓の健康状態を知る上で欠かせない検査であり、正確な読み取りと解釈が不可欠です。今後も心電図技術の進化とともに、より詳細な解析手法が開発されることが期待されています。

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