慈照寺

慈照寺（銀閣寺）

慈照寺（じしょうじ）は、京都市左京区にある臨済宗相国寺派の寺院で、山号は東山。観音殿（銀閣）の名で広く知られています。足利義政により創建され、夢窓疎石を勧請開山と仰ぎます。

歴史

文明5年（1473年）、足利義政は子の義尚に将軍職を譲り、文明14年（1482年）から東山に東山山荘（東山殿）の造営を開始。応仁の乱後の京都の疲弊の中、義政は守護大名に費用を負担させ、庶民に税や労役を課して造営を進めました。書画や茶の湯に親しむ隠棲生活を送る傍ら、義政は政治的機能も有する山荘を築きましたが、その完成を見ずに文明15年（1483年）に移り住みました。

義政の死後、延徳2年（1490年）に禅寺として改められ、慈照寺と号しました。寺号は義政の院号に由来します。戦国時代には中尾城が築かれるなど変遷を経て、1952年（昭和27年）に庭園が特別史跡・特別名勝に指定、1994年（平成6年）には世界遺産「古都京都の文化財」の一部として登録されました。

観音殿（銀閣）

銀閣は二層構造の楼閣建築で、錦鏡池の畔に佇みます。長享3年（1489年）に上棟。屋根は宝形造、杮葺で、屋頂には銅製の鳳凰が置かれています。金閣とは異なり銀箔は貼られていません。

初層は「心空殿」と称し住宅風の造りで、東側に落縁が設けられています。内部は仏間や畳敷きの部屋などから構成されます。上層は「潮音閣」と称し、禅宗様の仏堂風。観音菩薩坐像が安置され、四周に縁と高欄がめぐらされています。創建当初は内外とも黒漆塗で、軒下には彩色があったことが判明しています。

銀閣の形式や部材には変則的な点が見られ、移築説も存在しましたが、近年の発掘調査で創建時の位置から移動していない可能性が示唆されています。銀閣という名称は江戸時代以降のもので、当初は外壁に黒漆が塗られていましたが、銀箔は使用されていません。屋根は約30年ごとに葺き替えられています。

東求堂

文明18年（1486年）建立の東求堂は、義政の持仏堂として建てられましたが、住宅建築の要素が強い建物です。内部は4室に分かれ、仏間と書斎「同仁斎」があります。同仁斎は、現存する最古の座敷飾りとして知られ、書院造の源流とされています。「東求堂」「同仁斎」の名は横川景三が撰し、義政が選びました。

境内

境内には、方丈、宝処関、大玄関、庫裏、書院などの建造物があります。庭園は錦鏡池を中心とする池泉回遊式庭園で、西芳寺庭園を模して造られたとされますが、江戸時代に改修され、創建当時の面影は失われています。「銀沙灘」「向月台」と呼ばれる砂盛りも特徴的です。

文化財

慈照寺は、銀閣と東求堂が国宝に指定されているほか、庭園が国の特別史跡・特別名勝に指定されています。また、旧境内は国の史跡に指定されています。

周辺

周辺には哲学の道、法然院などの名所があります。

慈照寺（銀閣寺）は、足利義政の美意識が凝縮された空間であり、日本の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。

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