日下武史

日下 武史（くさか たけし）

日下武史は1931年2月24日に生まれ、2017年5月15日に他界した日本の俳優および声優です。彼は本名を日下孟といい、東京都豊島区出身でありました。また、劇団四季の創立メンバーとしても知られています。彼の身長は168cm、体重は60kgで、愛称として「ギョブツ」も用いられていました。

来歴

日下は2年遅れて慶應義塾普通部に通い、老け顔が相まって「御仏」というあだ名を付けられていました。慶應義塾高等学校では、後に劇団四季を共に立ち上げることになる浅利慶太と出会い、同校の英語教師であった劇作家の加藤道夫の指導の下で演劇に興味を持つようになります。演劇活動を本格的に始めたのは慶應義塾大学文学部仏文科在学中でしたが、経済的な理由で大学を中退し、友人らと共に劇団四季を創設します。初めての公演は1954年1月に上演されたジャン・アヌイ作の『アルデールまたは聖女』であり、その後、劇団四季の中心メンバーとして長年にわたり活動を続けました。

日下は舞台が中心でしたが、映画や声優としての活動でも幅広く知られています。特に1961年にNET（現在のテレビ朝日）系で放送された『アンタッチャブル』で演じたエリオット・ネスは、多くの視聴者の記憶に残っています。以降も洋画の吹き替えやナレーションなど多様なメディアで活躍し、1986年に放送された『アマデウス』では、アントニオ・サリエリの声を見事に演じました。日下の演技力は高く評価され、その深みのある声と巧妙なやり取りは多くのファンに印象を与えました。

名古屋での舞台公演中に倒れた後も療養を経て、2003年には13年ぶりに舞台『ひかりごけ』で復帰しました。プライベートでは、2009年に前妻を亡くし、2010年末に劇団の後輩女優である木村不時子と再婚を果たしています。2017年、日下はスペインで誤嚥性肺炎によって86歳の生涯を閉じました。

人物

日下はその声優業に関しても非常に多くの経験を持っており、特に『アンタッチャブル』での吹き替えが野沢那智のキャリアに影響を与えたというエピソードがあります。野沢が初めて日下の演技を見た際、その高い技術に衝撃を受け、結果的に声優を始めるきっかけとなったと語っています。このように、彼は多くの声優や後輩たちにとって模範となる存在でした。

主要な作品

日下はテレビドラマや映画、舞台、声の出演に至るまで多岐にわたる作品に出演しています。特に大河ドラマでの役柄や様々なジャンルのテレビドラマでの活躍が目立ちます。テレビドラマとしては、『天と地と』や『獅子の時代』などが有名で、映画では『南極物語』や『226』などにも出演しています。舞台でも多くの作品に出ており、劇団四季としての活動が特に印象的です。また、声の出演では多くの洋画の吹き替えを担当し、名優としての地位を確立しました。

受賞歴

日下の功績は数多く、1965年には芸術祭賞奨励賞、1991年には芸術選奨文部大臣賞、さらに1996年には紫綬褒章を受賞しています。2002年には勲四等旭日小綬章も授与され、日本の芸能界におけるその影響力を示しています。

日下武史のキャリアは、俳優・声優としての多彩な才能を発揮し続け、数多くの人々に感動を与えました。彼の歩みは今でも多くの後進の道しるべとなっています。

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