早川聞多

早川聞多（はやかわ もんた）は、1949年4月2日に生まれた日本の美術史家であり、特に日本美術史と江戸文化史を専門としています。国際日本文化研究センターの名誉教授としても知られています。

生い立ちと学歴

京都市で生まれた早川氏は、京都教育大学附属高等学校を経て、国際基督教大学人文学科に進学しましたが、中退しました。その後、東京大学に入学し、文学部哲学科を卒業しました。学業と並行して、大学時代には硬式野球部に所属し、投手として東京六大学野球リーグで活躍しました。1973年秋のリーグ戦では、慶應義塾大学、法政大学、立教大学からそれぞれ勝利を挙げ、リーグ戦通算で3勝を記録しています。

1980年には大阪大学大学院芸術学専攻修士課程を修了しました。

研究活動

早川氏は、1978年に大和文華館の学芸員となり、その後、1987年に創設された国際日本文化研究センターに助教授として着任しました。2001年には文化資料研究企画室の教授に昇進し、2015年に定年退官するまで、同センターで研究活動を続けました。

専門分野は、与謝蕪村や浮世絵春画など、江戸時代の美術や文化に深く関わっています。特に春画の研究においては、その美術的価値や歴史的背景を詳細に分析し、多くの著作を発表しています。

主な著作

早川氏の主な著作には、以下のようなものがあります。

『夜色楼台図 己が人生の表象　絵は語る12』（平凡社、1994年）
『浮世絵春画と男色』（河出書房新社、1998年、新装版2018年）
『北尾重政 笑本春の曙』（河出書房新社、1999年）
『春画のなかの子供たち』（河出書房新社、2000年）
『春信の春、江戸の春』（文藝春秋〈文春新書〉、2002年）
『春画の見かた 100のポイント』（平凡社〈コロナブックス〉、2008年）
『カラー版 現代語訳 春画』（新人物往来社〈新人物文庫〉、2012年）
『春画 (おとなの愉しみシリーズ 1)』（すばる舎リンケージ、2014年）
* 『春画　ジャパノロジー・コレクション』（角川ソフィア文庫、2019年）

共著としては、芳賀徹氏との『水墨画の巨匠 第12巻 蕪村』（講談社、1994年）や、白倉敬彦氏、田中優子氏らとの『浮世絵春画を読む 〈上・下〉』（中央公論新社、2000年）などがあります。

また、共編著として、白倉敬彦氏との『春画-秘めたる笑いの世界 ヘルシンキ市立美術館／浮世絵春画展-』（洋泉社、2003年）などがあります。

これらの著作を通じて、早川氏は春画を単なるエロティックなイメージとしてではなく、江戸時代の文化や社会を映し出す重要な資料として捉え、その研究に尽力しています。

人物像

早川氏は、美術史家としての顔だけでなく、大学時代には野球選手としても活躍したという異色の経歴を持っています。その多才さが、彼の研究活動にも影響を与えていると言えるでしょう。

早川氏の研究は、日本美術史における新たな視点を提供し、特に春画という分野において、その美術的価値を再評価する上で重要な役割を果たしています。

その他の活動

早川氏は、特定非営利活動法人文字文化協會の『今昔秀歌百撰』の編纂にも参加しています。幅広い知識と見識を持ち、多岐にわたる分野で活動を続けています。

早川聞多氏は、日本の美術史研究において、重要な貢献をしている研究者の一人です。

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