旭川ラーメン

旭川ラーメンとは

旭川ラーメンは、北海道旭川市で提供されるご当地ラーメンです。札幌ラーメンの味噌、函館ラーメンの塩に対し、旭川ラーメンは醤油味が主流とされ、多くの店舗で醤油味が人気を集めています。

スープの特徴

旭川ラーメンのスープは、豚骨や鶏ガラなどの動物系と、煮干しや昆布などの魚介系を合わせたWスープが基本です。このWスープは、旭川市で養豚業が盛んだった時代に、豚骨の活用と臭み抑制のため、魚介を加えて風味を豊かにしたことが始まりとされています。スープの表面を覆うラードは、寒冷地である旭川で、スープを冷めにくくするための工夫です。また、焦がしラードや香味油を使うことで、独特の風味を加える店もあります。

麺の特徴

麺は、低加水の縮れ中細麺が主流です。加水率が低い麺は、硬めで歯切れが良く、小麦の香りが残りやすいのが特徴です。縮れた麺はスープを良く吸い上げ、一体感を生み出します。旭川市内の製麺所が作る麺を使用する店が多く、製麺所とラーメン店が協力して独自の麺を作り上げています。

具材の特徴

昔ながらの旭川ラーメンは、ネギ、メンマ、チャーシューが基本ですが、近年は多様な具材が用いられています。地元名産の塩ホルモンや豚トロをチャーシューの代わりに使う店や、観光客向けにホタテやコーン、バターなどの北海道らしい食材を加える店もあります。

バリエーション

旭川ラーメンは醤油味が主流ですが、味噌ラーメンも人気があり、濃厚でこってりとした味わいが特徴です。また、辛味噌ラーメンも提供する店が多くあります。

1988年には「らーめん山頭火」が創業し、博多ラーメンに近い豚骨白湯スープで人気を集め、その影響で多様なラーメン店が旭川に進出するようになりました。

価格帯

旭川ラーメンは、多くの素材を使ったスープと低加水麺を使用するため、一杯あたりの価格は他の地域と比べてやや高めとなっています。

旭川ラーメンの歴史

戦前

旭川ラーメンのルーツには諸説ありますが、1933年に札幌の「竹家食堂」の支店が旭川にできたことが、中華麺文化の始まりという説があります。また、1936年には蕎麦屋がラーメンを提供したという記録もありますが、戦時中の影響で一旦姿を消します。戦前の旭川ラーメンは、札幌ラーメンの亜流的な位置づけで、シンプルなものでした。

戦後

戦後、旭川では独自の工夫を凝らしたラーメンが広まりました。1947年に創業した「蜂屋」と「青葉」の2店が、旭川ラーメンの特徴であるWスープや低加水麺を作り上げ、そのスタイルが市内全体に浸透しました。1950年には「特一番」、1952年には「天金」が創業し、現在の旭川ラーメンの源流となりました。「特一番」はチェーン展開を行い、当時の繁盛ぶりを物語っています。

1960年代後半から70年代前半には、札幌ラーメンの影響を受けて味噌ラーメンを主力にする店が登場し、各地のラーメンの影響を受けつつ成長しました。1996年には「あさひかわ[[ラーメン村]]」が誕生し、観光の目玉としても親しまれるようになりました。

製麺所との協力関係

旭川ラーメンでは、製麺所の麺を使うことが多く、製麺所がラーメン店に麺の卸だけでなく、ラーメン作りまで指導してきたという歴史があります。製麺所とラーメン店の協力関係は、旭川ラーメンの特徴を形作る上で重要な役割を果たしています。

旭川ラーメンの文化、風習

ホルモンラーメン

ホルモンをトッピングに使ったホルモンラーメンは、市内30以上の店舗で提供されています。「ひまわり」が、学生向けに栄養を考慮して始めたのがきっかけとされています。また、「旭川しょうゆホルメン」というご当地グルメも登場し、旭川のラーメンとホルモンを組み合わせた新しい味として注目されています。

野菜ラーメン

旭川ラーメンには、モヤシやキャベツ、ニンジンなど、複数の野菜を炒めたものをトッピングする野菜ラーメンというメニューもあります。醤油味であれば「正油野菜ラーメン」、塩味であれば「塩野菜ラーメン」と呼ばれます。

かけラーメン

シンプルなかけラーメンも人気で、ネギだけをトッピングした、かけそばのラーメン版のようなメニューです。通常のラーメンよりも安価で提供されています。

トンカツラーメン

ラーメンの上にトンカツを乗せたトンカツラーメン（カツラーメン）も、旭川では定食屋などでよく見られます。

主な店舗

老舗

蜂屋: 1947年創業。Wスープとラードが特徴の老舗。
旭川らぅめん青葉: 1947年創業。化学調味料不使用のスープが特徴。
特一番: 1950年創業。暖簾分け店が多い老舗。
天金: 1952年創業。トンコツ・鶏ガラのシングルスープが特徴。

正油ラーメン以外が主力の店舗

よし乃: 1968年創業。味噌ラーメンが主力の老舗。
つるや: 1972年創業。味噌ラーメンが人気。
さいじょう: 1971年創業。塩ラーメンが主力の老舗。
麺屋 秘蔵: 2012年創業。山頭火系の豚骨白湯スープが特徴。
生姜ラーメンみづの: 1967年創業。生姜を効かせたラーメンが特徴。

国内外で多店舗展開を行っているチェーン店

梅光軒: 1969年創業。国内外に展開。
らーめん山頭火: 1988年創業。国内外に展開。
熊っ子チェーン: 1960年創業。最盛期には市内外に多数の店舗があった。
こぐまグループ: 熊っ子チェーンから分裂。

主な製麺企業

加藤ラーメン: 1947年創業。低加水麺の普及に貢献。
須藤製麺工場: 1948年創業。ラーメン以外も製造。
藤原製麺: 1948年創業。永谷園グループ。

旭川ラーメンの魅力

旭川ラーメンは、独自の製法で作られたスープや麺、地元ならではの具材、そして歴史と文化が深く結びついたご当地ラーメンです。その味は、地元の人々だけでなく、多くの観光客にも愛されています。この記事を通して、旭川ラーメンの魅力を深く知っていただけたら幸いです。

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