朝来駅

朝来駅：歴史と現代が交差する紀州の駅

和歌山県西牟婁郡上富田町朝来にあるJR西日本紀勢本線（きのくに線）の朝来駅は、冷水浦駅、芳養駅と並んで、その読みづらさから難読駅として知られています。上富田町の中心部に位置し、町内唯一の駅という重要な役割を担っています。多くの特急列車は通過しますが、一部の列車は停車します。

歴史を刻む駅舎

朝来駅は1933年（昭和8年）、紀伊田辺駅から紀伊富田駅間が延伸された際に開業しました。1948年（昭和23年）には戦災による被害を受けて駅舎の改築が行われ、その後、1959年（昭和34年）には紀勢本線の全通に伴い、紀勢本線所属となりました。

1985年（昭和60年）には荷物扱い、1986年（昭和61年）には貨物取扱いが廃止され、同年3月3日には駅員無配置駅となりました。国鉄分割民営化後の1987年（昭和62年）4月1日からは、JR西日本の駅として運営されています。近年では2021年（令和3年）3月13日にICOCAの利用が可能となり、利便性が向上しています。

駅舎とホーム

朝来駅は地上駅で、島式ホーム1面2線を有しています。線路の東側新宮寄りに駅舎があり、駅舎とホームは構内踏切で結ばれています。この構内踏切には遮断機が設置されているため、安全に配慮された設計となっています。

古くからの駅舎は現在も残っており、独特の雰囲気を醸し出しています。改札口付近には、近距離の乗車券を購入できる簡易型自動券売機が設置されています。無人駅（紀伊田辺駅管理）であり、JR職員は常駐していませんが、駅舎は社会福祉法人のデイサービスセンターとして活用され、地域社会に貢献しています。

利用状況と周辺環境

朝来駅周辺は、熊野街道（国道42号）と朝来街道（国道311号）が交差する交通の要衝として古くから栄えてきました。この二つの街道の分岐点という地理的な利便性から、駅周辺には短いながらも駅前商店街が形成されています。

駅周辺には上富田町役場、和歌山県立熊野高等学校、上富田町立上富田中学校、上富田町立朝来小学校などの公共施設、上富田郵便局、JA紀南朝来支所などの金融機関、スーパーセンターオークワ上富田店、JA紀南Aコープ紀南APIA店などの商業施設、さらに100円ショップや業務スーパー、しまむらなど、生活に必要な施設が充実しています。歴史的建造物である紀伊塗屋城跡も比較的近くにあります。

隣の駅

白浜駅
紀伊新庄駅

朝来駅は、歴史と現代が融合した、地域住民にとってかけがえのない存在であり続けています。その独特の雰囲気と利便性を兼ね備えた駅は、紀州路の旅の途上、訪れる人々に静かな感動を与えてくれるでしょう。

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