本江邦夫

本江邦夫（もとえ くにお）

概要

本江邦夫は、1948年9月25日に生まれ、2019年6月3日に逝去した日本の美術史家です。多摩美術大学の名誉教授であり、多摩美術大学美術館の館長、美術愛住館の館長を務めました。また、府中市美術館の館長も歴任しました。西洋美術史の研究を基礎としつつ、幅広い視点から美術を捉え、展覧会企画や著作活動を通じて、美術界に大きな影響を与えました。

生涯

愛媛県松山市で生まれた本江は、幼少期を東京で過ごし、その後、札幌や小樽にも居住しました。1973年に東京大学文学部美術史学科を卒業後、1976年には同大学院人文科学研究科修士課程西洋美術史専攻を修了しました。

大学院修了後、東京国立近代美術館に勤務し、主任研究員、企画・資料課長、美術課長などを歴任しました。在職中には、マチス、ピカソ、ゴーギャン、ルドン、木村忠太など、著名な画家の回顧展を数多く手がけました。また、「メタファーとシンボル」、「形象のはざまに」といったテーマ性のある展覧会や、手塚治虫、黒田アキ、辰野登恵子などの現代美術家の展覧会も企画し、幅広い分野における美術への深い知識と関心を示しました。

1998年に多摩美術大学共通教育学科の教授に就任。2001年から2009年まで府中市美術館の館長を兼任しました。その後も、多摩美術大学大学院美術研究科長、学校法人多摩美術大学理事などを務め、2019年に多摩美術大学名誉教授、多摩美術大学美術館長に就任しました。

2004年には、『オディロン・ルドン』の研究で芸術選奨新人賞を受賞しました。

2019年6月3日、心筋梗塞により東京都内の病院で逝去しました。享年70歳でした。

業績

本江邦夫は、美術史家として、西洋美術史と現代美術の両分野において重要な業績を残しました。特に、オディロン・ルドンの研究は高く評価されており、その著書はルドン研究における重要な文献となっています。また、美術館での展覧会企画を通じて、多くの人々に美術への関心を深める機会を提供しました。教育者としても、多くの学生を育成し、美術界に貢献しました。

著書

『○△□の美しさって何? 20世紀美術の発見』ポプラ社 1991
『絵画の行方』スカイドア 1999
『オディロン・ルドン 光を孕む種子』みすず書房 2003
『現代日本絵画』みすず書房 2006

共編著

『世界の素描 22 ルドン』 講談社 1978
『名画と出会う美術館 第4巻 20世紀の巨匠たち』 小学館 1992

翻訳

Alfred Werner『スーチン」解説 美術出版社 1978
Hubert Schrade『ドイツ・ロマン派』 美術出版社 1980
ロズリーヌ・バクー『オディロン・ルドン』美術出版社 1988
コンスタンス・ノーベル=ライザー『クレー』岩波書店 1992

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