東京堂書店

東京堂書店

東京堂書店は、東京都千代田区の神田神保町に店を構える、歴史ある書店です。その運営は株式会社東京堂が行っており、書店事業のほか、関連不動産として東京堂千代田ビルディングを所有しています。

歴史

東京堂のルーツは、1890年（明治23年）に博文館の小売部門として大橋新太郎氏が開業したことに始まります。創業翌年には、書籍の取次販売や自社での出版事業にも乗り出しました。しかし、太平洋戦争が激化する中の1941年（昭和16年）、書籍の流通が国の政策により設立された日本出版配給（日配）に統合されたため、取次事業は一旦幕を閉じます。戦後、日配が停止・清算された後も取次事業を再開することはありませんでしたが、1949年（昭和24年）の東京出版販売（現在のトーハン）創立には深く関わっています。1964年（昭和39年）には組織が再編され、書籍の小売部門が東京堂書店として、出版部門が東京堂出版としてそれぞれ独立しました。特に東京堂出版は、『民俗学辞典』や『全国方言辞典』など、辞書・事典類を数多く手掛けたことで「辞書の東京堂」としての評価を確立しました。その後、2011年（平成23年）には、運営会社である株式会社東京堂が子会社の東京堂書店を吸収合併し、現在に至ります。

店舗展開

東京堂書店は、かつて神田神保町の本店の向かい側に「ふくろう店」という別館を持っていました。このふくろう店は、2012年（平成24年）に女性向けの書店「Chez moi（シェ・モワ）」としてリニューアルしましたが、残念ながら翌年には閉店しています。また、2012年には東京都中野区の東中野駅ビル内に「アトレヴィ東中野店」、埼玉県ふじみ野市のショッピングセンター内に「ソヨカふじみ野店」を新規開店させ、一時期は複数の店舗を展開していましたが、アトレヴィ東中野店は2015年、ソヨカふじみ野店は2021年にそれぞれ閉店し、現在は神田神保町店のみでの営業となっています。

神田神保町店

現在の主力店舗である神田神保町店は、1982年（昭和57年）に竣工した建物内にあります。神田すずらん通りに面しており、神保町の一角を彩っています。2002年には大規模な改装が行われ、店舗面積が拡大されて1階から3階までが書店スペースとなりました。2011年のリニューアルでは、店内にゆったりと本を選べるカフェスペースが新たに設けられています。神保町には靖国通り沿いの三省堂書店本店や書泉グランデといった大型書店が並びますが、東京堂書店もこれらの代表的書店の一つに数えられます。規模では他の大型書店に及ばないものの、その「独自の棚作り」は多くの読書家から高い評価を得ており、立花隆氏、安原顯氏、坪内祐三氏といった著名な読書人たちにも愛されてきました。特にレジ前のメイン平台には、各分野の注目新刊が並べられており、来店客がまず足を止める場所となっています。

東京堂千代田ビルディング

株式会社東京堂は、書店事業に加え、千代田区に東京堂千代田ビルディングというテナントビルも所有しています。このビルは1971年（昭和46年）末に一般的なテナントビルとして設計が始まったものの、建設途中で太陽神戸銀行（現在の三井住友銀行）が主要テナントとして入居することが決定しました。このため設計が大幅に見直され、内部には銀行本店としての特殊な機能を持たせつつ、外部は一般的なテナントビルという、ユニークな特徴を持つビルとして完成しました。

完成以来、このビルには主要テナントとして銀行が入居し続けてきました。当初の太陽神戸銀行は、1990年（平成2年）の三井銀行との合併を経て太陽神戸三井銀行（後のさくら銀行）の本店となり、さらに2000年（平成12年）の住友銀行との合併により三井住友銀行九段営業部となりました。三井住友銀行が撤退した後、2003年（平成15年）3月には、旧日本債券信用銀行本店ビルの再開発や老朽化に伴い移転を余儀なくされたあおぞら銀行が、本店機能をこのビルに移しました。しかし、2017年春に上智大学四谷キャンパス内にソフィアタワーが完成すると、あおぞら銀行本店は新たなテナントとしてそこへ移転し、東京堂千代田ビルから撤退しました。その後、ビルはリニューアル工事を経て、2018年（平成30年）からはNTTデータグループの日本電子計算株式会社が本社として使用しています。

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