松山市駅

松山市駅（まつやましえき）

松山市駅は、愛媛県松山市湊町五丁目に位置する伊予鉄道の駅です。当駅は、伊予鉄道の郊外線（高浜線、横河原線、郡中線）と市内線（花園線）が乗り入れるターミナル駅であり、市内の主要な交通拠点となっています。地元では、JR四国の松山駅と区別するために「市駅（しえき）」という愛称で親しまれており、道路標識にもその表記が見られます。

概要

松山市駅は、松山市の中心部に位置し、駅前広場には市内電車の松山市駅停留所、バスターミナル、タクシープールなどが整備されています。郊外に位置するJR松山駅に対し、松山市駅は実質的な中心駅として機能しており、四国地方の鉄道駅の中で最も多い乗降人員を誇ります。駅ビルには四国最大の百貨店であるいよてつ高島屋が入り、周辺には松山銀天街商店街などの商業施設やオフィス街が広がっています。この地域は、大街道商店街とともに松山市の中心市街地を構成しています。

松山市駅停留所では、観光客に人気の「坊っちゃん列車」の機関車が、渡り線上で方向転換する様子を見ることができます。また、ダイヤが乱れた際には、当駅と古町駅を拠点とした運転整理が行われます。駅前のバスターミナルからは、京阪神や東京方面への高速バスも発着しています。

当駅は、四国で初めて自動改札機が設置された駅でしたが、ICカードの普及に伴い、タッチセンサー式の簡易改札機が導入され、自動改札機は撤去されました。現在、普通乗車券は磁気券ではなく、券売機で非磁気券のみが販売されています。また、中島汽船への連絡乗車券は、駅構内の「いよてつチケットセンター」で購入できます。郊外線の途中下車は、駅係員に申し出ることで当駅のみ可能となっています。

利用可能な鉄道路線

伊予鉄道

■高浜線
■横河原線
■郡中線
花園線（■■環状線・■3号線・■6号線）

郊外線の駅番号はIY10、市内線の駅番号は01です。

歴史

松山市駅は、三津駅や古町駅とともに、四国で最初の鉄道駅の一つです。開業当初は「松山駅」という名称でしたが、1927年に国鉄（現在のJR）の松山駅が開業した際、国鉄側の圧力により、現在の「松山市駅」に改称されました。この改称は、当時の鉄道会社間の競争や政治的な背景が絡み合った結果と言えるでしょう。

年表

1888年（明治21年）10月28日：松山駅として開業。
1889年（明治22年）7月20日：外側駅に改称。
1900年（明治33年）5月1日：伊予鉄道が道後鉄道・南予鉄道を合併し、南予鉄道（現在の郡中線）の藤原駅を統合。
1902年（明治35年）6月1日：松山駅に再改称。
1927年（昭和2年）3月1日：松山市駅に改称（国鉄松山駅開業による措置）。
1947年（昭和22年）3月25日：松山市内線花園線の松山市駅前停留場が開業。
2008年（平成20年）：花園線の停留場名が松山市駅停留場に変更。
2023年（令和5年）：松山市駅前の再開発が完了予定。路面電車の停留所が南側に移動し、駅からの乗り換えがスムーズになり、歩行者専用広場が新設。バスターミナルはタクシープールがあったスペースに整備される方針です。

駅構造

各路線の線路は東西に延びており、駅舎の南北に出入り口があり、それぞれ北口、南口と称されています。花園線のホームは北口前のロータリー内にあります。北口改札内には自動体外式除細動器（AED）が設置されています。

郊外電車のりば

引込み線の関係で、横河原行きの列車が2番線から発車することがあります（平日朝1本）。郡中方面行きの列車は、配線構造上3番線からしか発着できません。郡中線で使用される電車は、朝に古町駅から回送され2番線に入線した後、留置線を経由して3番線に入線します。2番・3番ホームは、かつての中線を本線に転用して拡幅されましたが、高浜・郡中側の末端部分はポイントが干渉するため、切り欠き状のまま残されています。1番・2番線は18メートル級4両編成に対応していますが、3番線は18メートル級3両編成までしか対応していません。

発車メロディ

当駅では、オリジナルの発車メロディが流れます。以前は番線ごとに異なるメロディが使用されており、特に2番線と3番線は同時発車の場合でも違和感がないように工夫されたメロディでした。その後、全てのホームで1番線のメロディが共通化され、2011年6月頃には松山市のイベントで生まれた歌「この街で」に変更されました。2015年7月1日には再び変更され、現在は伊予鉄道社長の清水一郎氏が作曲した「リズム」というメロディが使用されています。このメロディは、高浜駅、郡中港駅、横河原駅でも共通で使用されています。

異電圧直直セクション

高浜線は直流600V、郡中線と横河原線は直流750Vと電圧が異なるため、当駅の高浜方に3箇所の直直セクションが設置されています。このセクションは、交直接続のデッドセクションとは異なり、無電区間は存在しません。

市内電車のりば

相対式2面2線の構造で、東側に片渡り線が設置されています。片渡り線でホームが区切られており、北側ホームは坊っちゃん列車の降車場と市内電車の降車場、南側ホームは市内電車の乗車場と坊っちゃん列車の乗車場として利用されています。坊っちゃん列車の乗車場には柵が設けられており、通常は市内電車の留置のために閉鎖されています。1号線（環状線内回り）、2号線（環状線外回り）、3号線、6号線が発着します。市内電車は北側ホームで降車後、渡り線を利用して南側乗車ホームへ転線します。坊っちゃん列車は当駅で機回しを行い、降車ホームに到着後、客車を切り離し、機関車のみ東端の電車降車ホームへ移動します。その後、手動で機関車を180度回転させ、乗車ホームへ移動し客車と連結して乗車させます。環状線の電車は、松山市駅を越えて乗り通すことはできません。

利用状況

2017年度の松山市駅の1日平均乗降客数は27,416人で、JRを含めた四国内の鉄道駅の中で最多となっています。近年、乗降客数は増加傾向にあります。

駅周辺

北口

いよてつ高島屋本館（四国最大の百貨店）
大観覧車くるりん
ローズホール（多目的ホール）
まつやまマドンナ郵便局
松山市駅前地下街（まつちかタウン、四国唯一の地下街）
レフ松山市駅 by ベッセルホテルズ
松山銀天街
伊予鉄グループ本社
坊っちゃん列車ミュージアム
伊予鉄ターミナルビル地下駐輪場
まつやま坊っちゃん郵便局
伊予銀行湊町支店
人間環境大学松山キャンパス
済美高等学校
愛媛県道191号松山停車場線
国道56号
カトリック松山教会

南口

いよてつ高島屋南館
伊予鉄市駅西駐車場
伊予鉄タクシー専用タクシープール
伊予鉄ターミナルビル南駐輪場
松山東警察署市駅前交番
愛媛県立松山南高等学校
愛媛県立松山工業高等学校
聖カタリナ学園高等学校
聖カタリナ大学松山市駅キャンパス
愛媛県立中央病院
子規堂
富士教材（模型教材店）
四国電力原子力本部原子力保安研修所

バス路線

駅前ロータリーには13バースのバスのりば（乗車10、降車3）が設置されています。以前は、現在の高島屋本館東半分にバスターミナルがありました。

隣の駅

伊予鉄道

■高浜線：大手町駅 (IY09) - 松山市駅 (IY10)
■横河原線：松山市駅 (IY10) - 石手川公園駅 (IY11)
■郡中線: 松山市駅 (IY10) - 土橋駅 (IY25)
花園線（■1号線・■2号線・■3号線・■6号線）：松山市駅停留場 (01) - 南堀端停留場 (02)

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