桃山駅

桃山駅：歴史と文化が息づくJR奈良線の駅

京都府京都市伏見区桃山町鍋島に位置する桃山駅は、西日本旅客鉄道（JR西日本）奈良線に属する地上駅です（駅番号：JR-D05）。伏見桃山陵や伏見城の近隣にあり、古くからの歴史と、現代の利便性を兼ね備えた魅力的な駅です。

歴史：皇室との深い繋がりと変遷

桃山駅の開業は1895年（明治28年）に奈良鉄道の伏見駅-桃山駅間の延伸に伴い、終着駅として開業しました。当初は京都駅へは伏見駅を経由するルートでしたが、1921年（大正10年）の東海道本線のルート変更により、現在の稲荷駅経由のルートに変更されました。旧線は貨物線としてしばらく存続しました。

興味深いことに、駅設置当初、この場所に駅を設ける計画はありませんでした。しかし、西本願寺の別荘「三夜荘」からの景観を愛した大谷光尊法主の強い要望により、駅建設に至ったのです。建設費は伏見町、堀内村、大谷光尊法主からの寄付によって賄われました。駅名については地元の意向を尊重し「堀内」が提案されましたが、大谷光尊法主の強い主張により「桃山」に決定しました。

1912年（大正元年）の明治天皇崩御後、伏見桃山が陵墓地に選定され、桃山駅は明治天皇の大喪列車を迎えるため、急ピッチで拡張工事が行われました。大喪列車の停車ホームや駅前広場が整備され、駅の規模は大きく拡大しました。

その後、昭和天皇の即位大礼に伴い、さらに拡張工事が行われ、御陵参拝用の改札口「御陵口」が設置されました。多くの参拝客でにぎわいを見せ、駅舎には貴賓室が設けられ、駅長は京都駅と同等の地位に昇格するなど、その重要性は飛躍的に高まりました。最盛期には、1日の乗降客数が8万人に達した日もあったと伝えられています。

第二次世界大戦後は、御陵参拝客の減少に伴い、駅の賑わいは失われ、「御陵口」は廃止されました。皇室専用の線路やホームは貨物用側線に転用され、かつての活気は影を潜めました。現在、駅の北東側には、かつての「御陵口」駅舎跡と駅前広場の跡地が残っているとされています。

駅構造：バリアフリー化と近代化

桃山駅は単式2面2線のホームを持つ地上駅です。駅構内のカーブが大きいため、快速列車などは減速して通過します。かつては2面3線でしたが、バリアフリー化工事により3番線が撤去されました。宇治駅が管理し、JR西日本交通サービスが駅業務を受託しています。ICOCAなどのICカード乗車券も利用可能です。また、JRの特定都区市内制度における「京都市内」の駅にも指定されています。

2017年から行われたバリアフリー化工事では、エレベーター、屋根付き跨線橋、多機能トイレが設置され、利便性が向上しました。1番のりばは上り本線、2番のりばは下り本線となっていますが、1番のりばは下り列車の入線も可能です。

かつては貨物営業も行われており、駅北側には貨物用のホーム、駅舎、積み下ろしスペースがありました。伏見産の日本酒の輸送なども行われていたそうです。現在、その跡地にはマンションが建っています。

利用状況と周辺環境

桃山駅の1日平均乗車人員は、年々変動していますが、近年の統計データによると、一定数の利用客が利用しています。

駅周辺には、近鉄京都線の桃山御陵前駅、京阪本線の伏見桃山駅、京阪宇治線の観月橋駅など複数の駅があり、徒歩圏内にアクセス可能な利便性の高い立地です。また、伏見桃山陵、乃木神社、桃山善光寺などの歴史的建造物や観光スポット、学校、官公庁、商業施設などが周辺に点在しています。バス路線も充実しており、周辺地域へのアクセスも良好です。

隣の駅

上り：JR藤森駅
下り：六地蔵駅

桃山駅は、歴史と現代が調和した、魅力あふれる駅です。観光やビジネス、日常の利用など、様々な場面で活躍する重要な交通拠点となっています。

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