桜島駅

桜島駅：大阪港の歴史を刻む、ゆめ咲線の終着駅

桜島駅は、大阪府大阪市此花区桜島に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）桜島線（JRゆめ咲線）の終着駅です。駅番号はJR-P17。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへのアクセス拠点として知られ、多くの観光客で賑わう一方、その歴史を紐解くと、大阪港の発展と深く関わってきた重要な駅であることが分かります。

始まりは天保山駅

桜島駅の歴史は、現在の桜島駅よりも西側、現在のユニバーサル・スタジオ・ジャパンのラグーン付近に位置していた天保山駅に始まります。天保山駅は、大阪駅から西九条駅を経由して天保山駅に至る鉄道を建設した私鉄、西成鉄道によって開業しました。日露戦争の影響で軍事輸送の需要が高まり、1904年には西成鉄道全線が国有鉄道に借り受けて運営されることとなります。そして1905年、安治川口駅から天保山駅までの区間が開業しました。駅名は、安治川対岸にある天保山に由来しています。

しかし、天保山駅は安治川岸から離れており、船との連絡が不便でした。そのため、1910年、天保山駅から約0.5km西側の現在の桜島駅付近に新たな駅として桜島駅が開設され、天保山駅は廃止となりました。

大阪港の貨物拠点として発展

桜島駅は、大阪港の岸壁に近接していたことから、石炭、塩、石油、穀物、木材、肥料など、さまざまな貨物の積み下ろし拠点として利用されるようになりました。1930年には鉄道省が石炭専用岸壁を設置し、国鉄の配炭基地として機能するようになり、貨物輸送量は急増しました。周辺には多くの専用線が敷設され、一大貨物輸送基地へと発展していきました。

第二次世界大戦中は軍事輸送の増大により貨物輸送量がさらに増加しましたが、戦況の悪化と共に激減。1945年には空襲を受け、駅舎などが大きな被害を受けました。

一方、旅客輸送では、周辺の軍需工場への通勤客の増加により、ピーク時には1日5万人以上の乗降客数を記録しました。戦後は、日立造船などの工場従業員や港湾関係者の利用が中心となり、ラッシュ時と閑散時の乗降客数の差が大きくなりました。

貨物輸送の終焉と新たな役割

モータリゼーションの進展により鉄道貨物の需要が減少する中、1973年には国鉄貯炭場が廃止され、1986年には桜島駅での貨物取扱いが完全に終了しました。貨物設備は撤去され、跡地は大阪市に返還されました。

その後、桜島駅は旅客駅として、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン（USJ）開業に伴うアクセス向上のために数回移転・改良を重ね、現在に至ります。USJへのアクセス駅としての役割に加え、近年の開発により周辺にはホテルや商業施設が整備され、新たな賑わいを見せています。

駅構造と周辺環境

桜島駅は島式ホーム1面2線の地上駅です。駅舎はホームと跨線橋で連絡しており、自動券売機、自動改札機、みどりの券売機プラスが設置されています。ICOCAも利用可能です。

駅周辺には、天保山大橋、天保山渡船場、USJ、Zepp Osaka Baysideなどの施設があり、観光やビジネスにも便利な立地です。また、大阪シティバスや北港観光バス、空港リムジンバスなどの路線バスも発着しています。

将来展望

京阪中之島線や大阪港トランスポートシステム北港テクノポート線の延伸計画があり、新桜島駅（仮称）の設置が検討されています。2025年日本国際博覧会へのアクセス向上を目指していましたが、間に合わず、現在は桜島駅からシャトルバスが運行されています。万博会場隣接地に統合型リゾート誘致計画があり、実現すれば延伸計画が加速する可能性があります。

桜島駅は、大阪港の歴史を刻み、現在も発展を続ける重要な駅であり、今後もその役割を担い続けるでしょう。

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