楊儀

楊儀（ようぎ）についての詳細

楊儀は、中国の後漢末期から三国時代にかけて活躍した歴史的な人物であり、その字は威公です。彼は荊州襄陽郡の出身で、兄に楊慮を持ち、ノーや武の才を兼ね備えた存在として知られていました。楊儀は、後に蜀漢の丞相として名高い諸葛亮のもとで重要な役割を果たし、多くの戦いに参加しました。

初期の経歴

彼のキャリアは、曹操に仕えていた傅羣の主簿としてスタートしましたが、関羽に心酔してその下に降ります。これにより、彼は功曹に採用され、その後は劉備の元に使者として赴く機会を得て、彼の信任を受けて左将軍府の兵曹掾の職に就くことになります。建安24年（219年）、劉備が漢中王に即位すると、尚書の地位に昇進しました。しかし、章武元年（221年）に劉備が即位すると、上司の劉巴との争いから弘農太守に降格されるという挫折も経験しました。

その後、諸葛亮が彼の能力を高く評価し、劉備の死後に書状を持って再び彼を登用します。楊儀は丞相参軍・丞相長史を経て綏軍将軍にまで昇り、諸葛亮のサポートに徹しました。

諸葛亮の下での活動

諸葛亮が北伐を行う際、楊儀は丞相府の幕僚の筆頭として、部隊編成や軍需物資の確保といった重要な任務を担当しました。彼の事務処理能力は高く評価されていましたが、性格面では狭量であることがあり、魏延との関係は険悪でした。軍議では互いに言い争う場面も多く、魏延が刃物で脅すことさえあったというエピソードも伝えられています。

諸葛亮の死と権力闘争

建興12年（234年）、諸葛亮が病死し、彼の遺言に従って全軍の指揮を取った楊儀は、撤退に成功します。しかし、その時に魏延が反乱を起こし、軍を挙げて楊儀を討とうとしました。楊儀を支持する諸将により魏延は敗北し、その命を失うこととなりました。楊儀はこの勝利に自信を持ちましたが、諸葛亮の後継者には自らではなく蔣琬が選ばれ、自分が中軍師に留まったことに不満を募らせました。

失脚と最期

この状況への不満から楊儀は、蔣琬に対して自身を誹謗する内容を書簡で送るような態度を見せました。その結果、費禕がこの内容を劉禅に報告し、楊儀は流罪にされ、最終的には自殺に至ります。流罪となった後も彼は不満を募らせ続け、結局は自らの命を絶つことになりました。彼の妻子はその後、成都に戻ることが許可されました。

一族と後世の評価

楊儀の家族には、兄の楊慮や一族の楊顒がいます。楊慮はまだ若くして徳行がありましたが、彼もまた早逝しました。後世、楊儀は諸葛亮の後を継ぐ候補として名前が挙がるも、自ら築いた地位の不安定から多くの波乱を経験し、歴史に名を残すこととなりました。小説『三国志演義』では彼の活躍が描かれており、特に魏延との抗争が印象的に取り上げられています。全体を通して、楊儀はその才能と苦悩、そして悲劇的な最期から多くの教訓を我々に残しています。

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