樽見鉄道

樽見鉄道株式会社

樽見鉄道株式会社（たるみてつどう）は、岐阜県で樽見線という鉄道路線を運営しています。この路線は、旧国鉄の特定地方交通線を転換したものであり、西濃鉄道や住友大阪セメント、沿線の自治体などが出資する第三セクターの鉄道会社です。会社の本社は岐阜県本巣市に位置しています。

概要

樽見鉄道は、住友大阪セメントの岐阜工場からのセメント輸送を行っており、主要株主となっている西濃鉄道と住友大阪セメントは全体の出資の約7割を占めています。初代社長の林鍵治は、会社の誇りを持っていくために、いつか配当を出すことを社是に掲げていました。しかし、2004年に住友大阪セメントが鉄道の利用を打ち切る意向を示し、2006年にはセメント輸送列車が運行を終了しました。この結果、樽見鉄道は厳しい経営環境に直面しました。

安全支援が行われた後も、樽見鉄道は厳しい財政状態にありました。沿線の市町から毎年約1億円の支援を受けながらも、収支改善には時間がかかり、路線廃止の懸念もありました。しかし、徐々に経常赤字は改善され、最終的には2013年には支援が続く評価を得るまでに至りました。

また、樽見鉄道は「薬草列車」や「しし鍋列車」といったイベント列車を運行することで、収入増を図っています。2015年には「市民駅長」を任命し、17の無人駅を委託管理することによりコスト削減にも取り組んでいます。

沿革

樽見鉄道の歴史は1984年（昭和59年）に設立されたことから始まります。1984年10月6日に樽見線が開業し、国鉄との連絡運輸をスタートしました。その後、1989年には神海から樽見間が延伸され、1993年には薬草列車の運行が開始されました。さらに1995年にはグルメ列車、現在のしし鍋列車が始まりました。

2006年には、定期客車普通列車が運行を終了し、翌日からレールバスだけの運行に切り替わりました。しかし、2009年には二酸化炭素排出削減事業を開始し、環境への配慮も欠かさずに行っています。

その後、樽見鉄道は2010年から2012年の間に連続で黒字決算を達成し、この状況は徐々に良化しました。2015年からは「たにぐみ盆梅展号」の運行も開始され、観光と地域活性化に貢献しています。

路線

樽見線は大垣から樽見までの距離が34.5 kmで、第一種鉄道事業として運営されています。特に企画列車として毎年5月から11月に運行される薬草列車や、12月から3月までのしし鍋列車が好評を博しています。

車両

樽見鉄道の車両は主にレールバスを使用しており、一部朝のラッシュ時やイベントにおいて客車を利用しています。過去には国鉄の払い下げ車両が運用されていましたが、2006年には客車列車が廃止されました。

現在、樽見鉄道の現有車両には気動車が5両、除雪用モーターカーが1両あり、運行の安定を図っています。

乗車料金

樽見鉄道の運賃は、通常の普通旅客運賃から、大人用と子供用の料金が設定されており、利用者は沿線の駅でチケットを購入できます。また、シルバー会員制度も設けられ、高齢者が手軽に利用できるよう配慮されています。特に、期間限定の「鮎やな料理クーポン」や、1日フリー乗車券なども提供されており、観光客や地元の人々に喜ばれています。

樽見鉄道は地域に根差した運営を行いながら、今後も様々な取り組みを通じて地域発展に寄与していくことでしょう。

もう一度検索