水野勝成

水野勝成（みずの かつなり）

水野勝成は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて活躍した武将であり、大名としての名声を集めました。彼は三河国の刈谷藩の藩主を経て、備後国福山藩の初代藩主となりました。特に、彼の武勇と独特な性格が評価され、幕末の館林藩士岡谷繁実によって作成された名将言行録には「倫魁不羈」という称賛が記されています。また、勝成は凡庸な枠には収まることのない存在として知られています。

経歴

幼少期

勝成は永禄7年（1564年）に三河国刈谷に生まれており、幼名を国松、若名を藤十郎と呼ばれました。母は妙舜尼とされ、その出身については諸説が存在します。彼が成長する過程では、父・水野忠重の影響を強く受け、早くから戦の世界に身を置くこととなります。

初陣と家康との関係

水野勝成の初陣は天正7年の高天神城の攻撃でしたが、初めての戦においては直接の戦闘には至りませんでした。同年、徳川秀忠が誕生し、勝成は彼と乳兄弟の関係にありました。その後、父の忠重が織田信長に仕官したことで、勝成も重用され、数々の戦に参加します。特に、第二次高天神城の戦いでは首級をあげ、信長から感状を授与されました。

天正壬午の乱と小牧・長久手の戦い

天正10年、勝成は家康の元で天正壬午の乱に参加し、数多くの戦功を挙げました。小牧・長久手の戦いでは、勇猛さが際立ち、敵陣に突入して戦果を上げ、さらに家康の信任を得ることとなります。彼は戦場では常に最前線におり、その姿勢が周囲に影響を与えました。

出奔と混乱の時代

しかし、天正12年に蟹江城合戦での勝成の行動は評価されず、父から勘当され出奔することになりました。この時期、彼は京都に赴き、無頼の徒と交わるなど波乱に満ちた日々を送ります。それでも、彼は秀吉の陣営に加わり、再び戦の道を歩むこととなります。

九州転戦と福山藩主への道

九州での戦いで活躍した勝成は、奇縁から福山藩の初代藩主となる機会を得ました。彼は新たに福山城を築くこととなり、その後の藩政に尽力することになります。特に、治水工事や新田開発に取り組み、地域の発展に寄与しました。

大坂の陣とその後

大坂冬の陣では、その息子勝俊を連れて戦いに参加しました。彼は戦闘の最前線で活躍し、多くの武功を挙げていきます。後に島原の乱に参加し、幕府の信任を受け、老齢にもかかわらずその戦歴は評価されました。

隠居と最期

寛永16年に家督を嫡子に譲り隠居しましたが、その後も藩政に関与します。彼は73歳で隠居し、82歳でこの世を去りました。その業績は今なお語り継がれ、福山の開祖として親しまれています。

人物・逸話

水野勝成はただの武将ではなく、文学や芸術も嗜む文化人でもありました。彼の知識は幅広く、俳諧や能楽にも親しんだことが知られています。戦国時代も後半となった彼の生涯は、時代の変化に柔軟に対応しながら、自らの足取りを刻んでいく物語でもあります。

水野勝成の影響は、彼が治めた土地に今も残っており、名将としての名声は語り継がれています。

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