渦潮

渦潮とは

渦潮（うずしお）とは、海水が渦を巻いて激しく流れる現象を指します。この現象は主に潮の流れの速さやその方向、さらには潮の干満差が大きい地点で発生しやすく、流れの強い川やダム、滝のすぐ下においても見られることがあります。

有名な渦潮

サルツトラウメン

ノルウェーのボードー南東33kmの位置にあるサルツトラウメン海峡では、幅150mの狭い場所で一日に4回渦潮が発生します。この海峡には10億ガロンの水が流れ込み、潮の満ち引きによって水の色がクリーム色に変化します。特に満潮の際には水流が最も激しくなり、時速40km（25mph）を超えることもあります。この渦潮は世界で最も強大なものであり、大型の船舶が通過するのは非常に危険なため、通行可能な時間は限られています。サルツトラウメンの渦潮は、新月や満月に発生する強力な潮流によって引き起こされます。この海峡はサルト・フィヨルドとシエールスター・フィヨルドを繋いでおり、両者の水面のレベルを均一化するために渦潮が形成されていると考えられています。

モスクストラウメン

モスクストラウメンは、ノルウェーのロフォーテン諸島近くで起こる渦潮です。潮流の速さは時速32km（20mph）に達し、これもまた世界で二番目に強い渦潮とされています。モスケネス島とロフォトデン間の海峡で集まる海流が渦潮を生む要因です。エドガー・アラン・ポーやジュール・ヴェルヌはこの現象を作品の中で巨大な渦として描いていますが、実際の流速は約5～6m/sと言われています。ポーは短編小説『メエルシュトレエムに呑まれて』でこの現象を取り上げ、英語の「Maelstrom」という言葉はこの物語から派生したと言われています。

コリヴレカン海峡

次に紹介するコリヴレカン海峡は、スコットランドのジュラ島とスカバ島の間にあり、ここでも大きな渦潮が発生します。最大で9m（30フィート）を超える波を引き起こし、この渦潮は世界で三番目に大きいとされています。その轟音は16km先まで届くことがあり、危険性のためイギリス海軍はかつて「航行不可能」と指摘していましたが、後に「極度に危険」と改められました。

鳴門の渦潮

日本では、鳴門市と兵庫県南あわじ市の間にある鳴門海峡で発生する鳴門の渦潮がよく知られています。この渦潮は春の大潮の際に最大直径20mに達し、平常時は時速13～15kmですが、大潮時には時速18kmを超え、風向きによっては20kmにもなります。

文学や大衆文化における渦潮

渦潮は文学の中でもたびたび登場します。オラウス・マグヌスは1539年に『カルタ・マリナ』でモスクストラウメンを描写しました。また、ギリシア神話のカリュブディスは後に船を呑み込む渦潮として理解されています。さらに、8世紀の歴史家パウルス・ディアコヌスは、地中海沿岸の人々に向けて渦潮や海嘯についての説明を行っており、これらの現象が持つ危険性を伝えています。

まとめ

渦潮は自然現象の一つとして、世界中のさまざまな場所に見られます。その力強さや美しさは人々を惹きつけ、文学や文化においても重要なテーマとして取り上げられています。潮流のメカニズムを理解することで、渦潮の魅力をより深く味わうことができるでしょう。

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