源道済

源 道済（みなもと の みちなり）

源道済は平安時代中期に活躍した歌人であり貴族である。彼は光孝源氏の末裔で、陸奥守を務めた源信明の孫にあたる。また、父は能登守の源方国または伊豆守の源有国とされている。彼は正五位下・大宰少弐の官職を担い、当時の歌壇で特に名を知られる存在となった。

経歴

道済は、文部官僚である文章生からそのキャリアをスタートさせ、長徳4年（998年）には宮内少丞に任命された。その後数年の間に多くの官職を歴任し、長保3年（1001年）に蔵人、長保5年（1003年）には式部少丞に就任した。寛弘元年（1004年）には式部大丞に昇進し、寛弘3年（1006年）には従五位下と下総権守の職に叙任される。このように、彼の政治的キャリアは目まぐるしく進展していた。

しかし、寛弘7年（1010年）に下総権守の任を終えると、道済は山里での静かな生活を選んだとされ、その地域で詠んだ和歌がいくつか残っている。彼は長和4年（1015年）には筑前守兼大宰少弐と地方官に転任し、同年には従五位上に昇進した。さらに、寛仁2年（1018年）には正五位下に叙される。寛仁3年（1019年）4月には刀伊の入寇に際し、軍布陣のため博多津に派遣されたが、その際に筑前国で亡くなった。

人物としての道済

道済は藤原道長の時代において活発な歌人的存在であり、いくつかの重要な和歌集の編纂にも関与していた。彼は大江以言に師事しており、漢詩文への理解も深かったことが知られている。彼の詩は、特に『拾遺和歌集』に61首が収録され、これにより彼の歌人としての位置付けが強固なものとなった。また、彼自身の歌集として『道済集』があり、歌学書では『道済十体』が伝わっている。

官歴

以下は彼の官歴を示すもので、注記がないものは『道済集』の記録に基づく。

• - 時期不詳：文章生
• - 長徳4年（998年） 正月25日：宮内少丞
• - 長保3年（1001年） 正月30日：六位蔵人
• - 長保5年（1003年） 正月30日：式部少丞
• - 寛弘元年（1004年） 正月24日：式部大丞
• - 寛弘3年（1006年） 正月7日：従五位下に叙爵し、正月28日：下総権守に任命
• - 寛弘7年（1010年） 日付不詳：下総権守を辞任
• - 長和4年（1015年） 2月18日：筑前守兼大宰少弐、元蔵人式部大丞。3月21日：従五位上に昇進
• - 寛仁2年（1018年） 7月11日：正五位下（造宮）
• - 寛仁3年（1019年） 日付不詳：卒去

系譜

道済の父は源方国または源有国で、母については不詳である。彼には男子が二人おり、源懐国と源親範が存在した。彼の家系は歴史的にも注目されるものであり、貴族の名家としての重みを持っていた。

参考文献

• - 桑原博史「源道済集について 」『文芸言語研究 文芸篇 9』筑波大学文芸・言語学系、1984年
• - 桑原博史「続・源道済集について 」『文芸言語研究 文芸篇 10』筑波大学文芸・言語学系、1985年
• - 『尊卑分脈 第二篇』吉川弘文館、1987年

このように、源道済は平安時代において政治的・文化的に重要な役割を果たし、その詩業により今日でも多くの人々に評価され続けている存在である。

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