火走神社

火走神社について

火走神社（ひばしりじんじゃ）は、大阪府泉佐野市にそびえ立つ神社です。この神社は、式内社として古くから人々に親しまれており、旧社格は郷社に指定されています。また、日本遺産の一部として『旅引付と二枚の絵図が伝えるまち-中世日根荘の風景-』に位置づけられています。

祭神とその意義

火走神社の主祭神は、火の神である軻遇突智神（かぐつちのかみ）です。彼は古来より、火を司る神として信仰されており、農業や生活の豊かさを象徴しています。火にまつわる祭事や儀式は、地域の安全と繁栄を願うために多く行われてきました。

神社の歴史

火走神社の創建年ははっきりとは分かっていませんが、推古天皇2年（594年）にはすでに祭礼が行われていた記録があり、これ以前に建てられたと考えられています。927年に成立した『延喜式』神名帳にも「日根郡 火走神社」と記されており、その存在の古さが伺えます。

境内には近くにある七宝瀧寺との深い関係があり、線結神道に基づく修験道の影響が見られます。火走神社の社名は、江戸時代の『和泉名所図会』に見られる男巫の火渡り神事に由来しているとも言われています。この神事は、神聖な火を渡ることで霊的な清めを行う重要な儀式です。

後村上天皇が社号を与えたという伝説がありますが、火走の名前はそれ以前から使われていた可能性が高いです。焼失した過去の歴史もあり、天正13年（1585年）には羽柴秀吉による紀州征伐の際に焼かれてしまいました。その後、元和8年（1622年）に本殿が再建され、徐々に現在の形が整えられていきました。享保11年（1726年）には正一位の神階が授与され、更なる信仰の深化が図られました。

明治時代には廃仏毀釈に伴い、神宮寺であった上宝院瀧本坊瀧音寺が廃寺となり、その影響が当社にも及びました。1872年には村社として階級が定められ、1907年には饌幣帛料供進社に指定、1912年には郷社に昇格しました。このように、火走神社は歴史の中で様々な変遷を経てきた神社なのです。

境内の特徴

火走神社の境内は「日根荘遺跡」の一部として国の史跡に指定されており、重要文化的景観にも選定されています。境内にはいくつかの文化財が点在しており、特に本殿は泉佐野市指定有形文化財として保護されています。本殿は元和8年に再建された一間社春日造りの素晴らしい建物です。

境内には幣殿や中門、社務所があり、社務所は元々神宮寺の本堂だったところを利用しています。拝殿は修験道と関わりの強い「長床」としても知られ、境内の入口を形成しています。

祭事と地域の文化

火走神社では毎年、秋季例祭が開催され、10月10日には地域の人々が集まり、様々な神事や行事が行われます。この神社も泉州地域の伝統的なだんじり祭りに深く関わっており、特に大木火走神社秋祭りの担いダンジリ行事は泉州地域における古い形式を持っています。

アクセス

火走神社へのアクセスは、JR阪和線の日根野駅または南海電気鉄道南海本線の泉佐野駅から犬鳴山行きのバスを利用し、「中大木」で下車すればすぐです。豊かな歴史と文化を持つこの神社を訪れることは、地域の歴史を感じる貴重な体験となるでしょう。

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