珍玉

珍玉の特徴と将棋における戦法

将棋の世界には多様な戦法が存在しますが、その中でも「珍玉」という概念があります。これは王将が通常の戦術によらず、非常に特異な位置に置かれる戦法を指しています。珍玉は主に棋戦では見かけないものであり、対局における幅広い戦略の中で特異な一形態として注目されます。

珍玉の分類

珍玉の一例として、自陣の蒙古風、いわゆる「中段玉」が挙げられます。自陣とは相手の駒が成ることが可能な位置のことで、王将が盤面の三段より高い場所に配置されることを指します。具体的には、先手の場合は7～9段、後手の場合は1～3段に王が配置される形が知られています。

居玉戦術

居玉に関しては、無敵囲いや藤井システムといった戦略が存在しますが、「居玉は避けよ」という格言が示す通り、これらは一般的に危険な戦い方と見なされることが多いです。珍玉自体はこのような居玉戦術とは異なり、特に奇妙な配置である点が強調されています。

右玉と左玉

珍玉の中には、さらに右玉や左玉と呼ばれる戦法も含まれます。これらは「王飛接近すべからず」という格言に反することで、悪形とされることが多いです。しかし、将棋の多様性から、こうした戦法が登場することもあります。

三段玉

三段玉は、王が三段目に位置するパターンを指します。この配置は必ずしも珍戦術ではなく、歴史的な対局の中でもよく見られます。その中でも、1955年の第4回NHK杯選手権で先手の花村元司八段が使用した「花村流名古屋戦法」が知られています。

雲隠れ玉

さらに、非常に特異な戦法として「雲隠れ玉」があります。この戦型では、王が三段目に位置しながら、保護されるべき駒が周囲に攻撃をかける位置にある、まさに珍しい配置です。この戦法が登場したのは、山川vs萩原の対局でした。萩原は右玉の形から奇抜な玉の囲いを選択し、7三玉型での囲いを試みました。この驚くべき配置は、加藤治郎によって「忍者流の囲い」と名づけられ、戦いの過程で新たな局面を迎えました。

この戦型の利点は、王を戦いの中心から遠ざけることができ、攻防において飛車の横利きを生かすことができる点です。例えば、名人である大山がこの珍しい形を用いた際には、その独自性が注目され、観戦者を驚かせました。その結果、松田との対局では珍玉戦法側が勝利を収めることとなります。これにより、将棋における珍玉の可能性や独自性が改めて評価されることとなりました。

結論

珍玉は将棋の中で特異な立ち位置を持ち、数多くの頭脳戦の中で興味深い局面を作り出します。その多様性は、プレイヤーによる戦略や個性を反映しており、将棋界において興味をもたらし続けています。

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