生命の光

生命の光（The Light of Life）

『生命の光』は、イギリスの作曲家エドワード・エルガー（Edward Elgar, 1857-1934）が1895年に完成させたオラトリオ作品です。この作品は、同年のスリー・クワイアーズ音楽祭からの委嘱を受けて作曲されました。同時期には、『オラフ王のサガの情景』や『バイエルンの高地から』といった他の作品も手がけられています。

当初、エルガーは本作に『キリストの光』（Lux Christi）というタイトルを考えていましたが、この題名がローマ・カトリック教会を連想させるとして変更され、現在の『生命の光』となりました。

作曲の背景と台本

作品の台本は、イングランド国教会の聖職者であるエドワード・ケーペル＝キュア（Edward Capel-Cure）によって作成されました。彼は『ヨハネによる福音書』から三つの物語を候補として提示しました。具体的には、「生まれつき目の見えなかった男が癒された物語」（第9章）、「マギの物語」（東方の三博士の物語、おそらくマタイ福音書第2章に基づく）、「バルナバの物語」（使徒言行録第4章に基づく）です。最終的に、作曲者であるエルガーが選択し採用されたのは、最も劇的な展開を含む「生まれつき目の見えなかった男が癒された物語」でした。

作曲作業は1895年の夏に開始され、翌1896年の6月20日に全曲が完成しました。初演は完成から間もない同年9月8日、作曲者自身の指揮によって行われました。演奏時間は、出版社の助言もあり、1時間以内に収まるように配慮されたと言われています。この作品で用いられたいくつかの音楽的動機は、後にエルガーが作曲した別の重要なオラトリオ『使徒たち』でも再利用されています。

日本初演

日本における『生命の光』の初演は、比較的近年に行われました。2010年10月30日、東京芸術劇場にて、同劇場の主催シリーズ（第106回演奏会）の一環として上演されました。この初演では、大友直人が指揮を務め、東京交響楽団と東響コーラスほかが演奏を担当しました。

編成

本作は、オーケストラ、独唱、および合唱によって演奏されます。用いられる楽器編成は以下の通りです。

フルート2（うち1本はピッコロ持ち替え）
オーボエ2
クラリネット2
ファゴット2
コントラファゴット
ホルン4
トランペット2
トロンボーン3
バスチューバ
ハープ
オルガン
弦五部（第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）

また、物語の登場人物を演じる独唱者と、物語の進行や背景を歌う合唱が必要です。

主な登場人物（配役と声部）

以下の主要な登場人物にそれぞれ独唱者が割り当てられます。

目の見えない男の母親（ソプラノ）
語り手（コントラルト）
目の見えない男（テノール）
イエス（バリトン）

構成

作品は以下の主要な部分から構成されます。

瞑想
合唱と独唱
レチタティーヴォと合唱
独唱
独唱
合唱
レチタティーヴォ
合唱
独唱と合唱
独唱
レチタティーヴォと合唱
独唱
レチタティーヴォ
独唱と女声合唱
レチタティーヴォ
合唱

この構成を通じて、生まれつきの盲人であった男が、イエスとの出会いによって視力を回復し、周囲の人々との軋轢を経て信仰に至る過程が描かれます。

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