田子駅

田子駅：紀伊半島の自然に抱かれた小さな駅

和歌山県東牟婁郡串本町和深に位置する田子駅は、西日本旅客鉄道（JR西日本）紀勢本線（きのくに線）の駅です。紀伊田辺駅から新宮駅へと続く紀勢本線のほぼ中間に位置しており、周囲の豊かな自然と、どこか懐かしい昭和の雰囲気を併せ持つ、静かな駅です。

歴史を刻む駅舎

田子駅が開業したのは1954年（昭和29年）11月15日。国鉄紀勢西線の和深駅と田並駅の中間に新設されました。現在の駅舎は1959年（昭和34年）3月に建てられ、周りの駅舎に比べてコンパクトながらも、その歴史を感じさせる佇まいは、訪れる人々の心を穏やかにさせます。その後、1959年7月15日には線路名称改定により紀勢本線の一部となり、1972年10月15日には荷物の取り扱いが廃止されました。1985年3月14日には無人駅となり、1987年4月1日には国鉄分割民営化によりJR西日本の駅となりました。そして2021年3月13日、ICOCAが利用可能となり、現代的な利便性も加わりました。

駅の構造と設備

田子駅は、新宮方面に向かって左側に単式ホーム1面1線を有する地上駅です。新宮方面と紀伊田辺方面の列車は、いずれもこのホームを使用します。昭和30年代に建てられたプレハブ式の駅舎はコンパクトながらも、待合所が設けられており、かつての出札口も残されています。現在では無人駅として、新宮駅が管理しています。自動券売機や乗車駅証明書発行機はありませんが、ICOCAの利用が可能になったことで、利便性が向上しています。また、駅舎横にはトイレも設置されています。

駅周辺の環境

田子駅周辺は、海岸沿いに小さな集落が点在する静かな地域です。駅は国道42号から少し入った場所にあり、初めて訪れる方には分かりづらいかもしれませんが、国道沿いに案内表示があります。国道沿いには、いくつもの平地があり、このあたりの国道は起伏に富んでいます。海岸線には岩礁が発達しており、特に磯釣りのシーズンには多くの釣り客でにぎわいます。駅名は「田子駅」ですが、実際には和深（赤瀬）という集落の中に位置しており、田子の集落も比較的近傍にあります。

周辺の見どころとしては、亜熱帯植物が群生する双島や、田子川などが挙げられます。交通手段としては、串本町コミュニティバスの「田子駅前」停留所があり、和深線を利用できます。

隣の駅

田子駅に隣接する駅は以下の通りです。

西日本旅客鉄道（JR西日本）きのくに線（紀勢本線）
田並駅
* 和深駅

田子駅は、近代的な設備と、昔ながらの静けさを兼ね備えた、独特の雰囲気を持つ駅です。紀勢本線を旅する際には、ぜひ一度訪れて、その魅力を感じてみてください。

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