登別温泉

登別温泉

登別温泉は、北海道登別市にある温泉地で、その歴史は江戸時代にまで遡ります。明治時代以降、保養地・観光地として発展し、「にっぽんの温泉100選」では常に上位にランクインするほどの人気を誇ります。アイヌ語の「ヌプル・ペツ」（水色の濃い川）が地名の由来です。

泉質

登別温泉の最大の特徴は、その泉質の豊富さです。自然湧出量は1日1万トン、毎分3,000リットルと圧倒的な湯量を誇り、9種類もの泉質が楽しめます。その多様性から「温泉のデパート」とも呼ばれています。

主な泉質は以下の通りです。

硫黄泉
食塩泉（塩化物泉）
明礬泉（含アルミニウム泉）
芒硝泉（硫酸塩泉）
緑礬泉（含アルミニウム泉）
鉄泉（含鉄泉）
酸性鉄泉
重曹泉
ラジウム泉

これらの泉質は、それぞれ異なる効能を持ち、様々な症状に効果があると言われています。特に、地獄谷は登別温泉最大の源泉エリアであり、多種多様な温泉が湧出しています。

温泉街

登別温泉の温泉街は、登別駅から約6kmの場所に位置し、北海道道2号洞爺湖登別線・北海道道350号倶多楽湖公園線でアクセスできます。クスリサンベツ川の谷に広がる温泉街（極楽通り）には、飲食店やお土産店が立ち並び、多くの観光客で賑わっています。また、警察署、消防署、銀行、郵便局、病院などの生活に必要な施設も揃っており、利便性も高いです。道南バスの登別温泉ターミナル付近には、公衆浴場「夢元さぎり湯」があり、気軽に温泉を楽しむことができます。地獄谷にも近接しており、温泉街からロープウェイで四方嶺（クマ山）へアクセスすると、のぼりべつクマ牧場があります。

近年では、温泉をモチーフにした2次元キャラクター「登別綾瀬」（温泉むすめ）が温泉のPRに活用され、温泉街ではパネルの設置やコラボグッズの販売などが行われ、若い世代の観光客にもアピールしています。

歴史

古くからアイヌの人々が温泉を薬湯として利用していたと伝えられています。江戸時代には、最上徳内が『蝦夷草紙』で温泉の存在を記録しています。

本格的な温泉地としての開発は、1858年に近江商人の岡田半兵衛が湯治小屋を設置したのが始まりです。その後、滝本金蔵が湯守となり、「湯もとの滝本」（現・第一滝本館）を開業。1905年には日露戦争の傷病兵の保養地となり、全国的にその名が知られるようになりました。

大正時代には、栗林五朔が登別温泉全物件を買収し、温泉街の発展に大きく貢献しました。1949年には支笏洞爺国立公園に指定され、観光地としての地位を確立。昭和天皇や香淳皇后も行幸啓されています。

景勝地

登別温泉には、温泉だけでなく、豊かな自然も楽しめます。

地獄谷: 日和山の噴火によってできた爆裂火口跡で、温泉街の主要な源泉地帯。遊歩道が整備されており、間近で温泉の湧出を見学できます。
登別原始林: 約186haの広さを誇る原生林。様々な種類の樹木や草木が保存されており、遊歩道が整備されています。
大正地獄: 大正時代に起こった小規模な爆発でできた湯沼。湯量の減少とともに地鳴りがし、湯の色が変化するのが特徴です。
日和山: 標高377mの活火山。山頂からは湯気が上がり、高山植物の群生を見ることができます。
大湯沼: 周囲1km、深さ22mの湯沼。かつては硫黄を採取していました。
奥の湯: 約80℃の硫化水素泉が湧き出しています。
大湯沼川天然足湯: 大湯沼から流れ出した温泉を利用した天然の足湯。森林浴も楽しめます。

選定

登別温泉は、その景観や温泉の質が評価され、様々な場所に選定されています。

日本百景（1927年）
新日本旅行地100選（1966年）
かおり風景100選（2001年）
北海道遺産（2004年）
日本紅葉の名所100選（2010年）
日本美しの森 お薦め国有林（2017年）

イベント

登別温泉では、年間を通して様々なイベントが開催されています。

元旦縁起もちつき
登別温泉湯まつり
地獄の谷の鬼花火
お宿の浴衣で盆踊り
登別地獄まつり
泉源公園イルミネーション

登別温泉が舞台となった作品

登別温泉は、多くの歌やドラマ、映画の舞台となっています。

ザ・ドリフターズ「いい湯だな　ビバノン・ロック」
『西部警察 PART-II』
『男はつらいよ 翔んでる寅次郎』

アクセス

札幌・新千歳空港方面からは、送迎バスを運行している宿泊施設があります。周辺には、カルルス温泉や登別伊達時代村などの観光スポットもあります。

道南バス「登別温泉」バス停下車
道央自動車道登別東ICから約6km
JR登別駅から約8km（路線バスあり）

登別温泉は、豊かな自然と多様な泉質、歴史と文化が融合した魅力的な温泉地です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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