登録修理業者

登録修理業者とは

登録修理業者とは、電波法および電気通信事業法に基づき、総務大臣の登録を受けた事業者のことです。これらの事業者は、特定の無線設備（特別特定無線設備）や端末機器（特定端末機器）の修理を行うことができます。

定義

電波法第38条の41では、「第38条の39第1項の登録を受けた者」と定義されています。これは、特別特定無線設備の修理事業を行う者が、総務大臣の登録を受けられることを定めたものです。

また、電気通信事業法第68条の5でも、「第68条の3第1項の登録を受けた者」と規定されており、特定端末機器の修理事業を行う者が登録を受けられることを示しています。

経緯

従来、特定無線設備の修理は、製造業者（メーカー）や契約修理業者のみが行うとされていました。これは、修理によって技術基準適合証明などが不明確になることを防ぐためです。

しかし、修理自体を禁止する法規制はなく、非正規の修理業者も登場しました。特にスマートフォンの普及に伴い、メーカー以外で修理を行う業者が増えました。

このような状況を受け、総務省は2012年に検討会を開催し、携帯電話端末の修理について、「米国では第三者修理業者が製造業者から技術情報提供を受けながら修理を行っている」という現状を報告しました。

日本では、「製造業者との契約がない第三者による修理品の技術基準適合性が不明確」であることから、修理の範囲を明確にする必要性が指摘されました。

この報告を受け、2014年に電波法が改正され、特別特定無線設備と特定端末機器の修理業者は、技術基準への適合を担保することが求められるようになりました。2015年には、総務省令「登録修理業者規則」が制定され、登録制度が開始されました。

実際

登録修理業者は、電波法と電気通信事業法の両方の規制を受けることになります。

対象

特別特定無線設備の対象となるのは、以下のものです。

コードレス電話
携帯電話端末
PHS 端末
上記の機器に無線LANを搭載したもの
無線アクセス端末

これらの機器のディスプレイ、フレーム、マイク、スピーカーなど、電波や電気通信に影響が少ない部分の修理が対象です。

登録

登録の基準は、以下の通りです。

修理方法が、他の無線局の運用を著しく妨害しないこと
修理された機器が技術基準に適合していることを確認できること

また、欠格事由として、電波法や電気通信事業法に違反した経歴がある場合などが挙げられます。

登録申請には、修理方法書などを添付する必要があります。

登録基準

電波法

修理方法が、他の無線局の運用を著しく阻害する混信その他の妨害を与えるおそれが少ないものとして総務省令で定める基準に適合すること。
修理の確認方法が、修理された特別特定無線設備が技術基準に適合することを確認できるものであること。

電気通信事業法

修理方法が、電気通信回線設備を利用する他の利用者の通信に著しく妨害を与えるおそれが少ないものとして総務省令で定める基準に適合すること。
修理の確認方法が、修理された特定端末機器が技術基準に適合することを確認できるものであること。

欠格事由

電波法

電波法に規定する罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者であること。
過去に登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者であること。
上記に該当する役員がいる法人。

電気通信事業法

過去に登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者であること。
上記に該当する役員がいる法人。

登録申請

登録申請書には、修理方法書を添付することが義務付けられており、修理に使う測定器などの情報や校正計画について記載が必要です。メーカーからの情報提供を受けている場合は、それについても記載します。また、事業所をすべて記入する必要があります。

申請は法人ごとに行う必要があるため、フランチャイズの場合はそれぞれが申請を行う必要があります。

公表

登録された事業者の情報（氏名、所在地、登録年月日、登録番号、修理範囲など）は、インターネットなどで公表されます。

変更登録

登録内容（修理範囲、修理方法、確認方法など）を変更する際には、変更登録を申請する必要があります。

手数料

登録手数料は50,700円、変更登録手数料は19,000円です。電波法と電気通信事業法の両方でそれぞれ手数料が発生します。

表示

修理を行った際には、登録番号（R/Tと6桁の数字）を枠で囲み、「登録修理」の文字と共に表示する必要があります。この表示は、修理業者が総務省の登録を受けていることを示すものです。

記録

修理内容と技術基準適合の確認記録は、10年間保存しなければなりません。

監督

総務大臣は、登録修理業者が法令に違反した場合、改善命令や登録取消しを行うことができます。また、必要に応じて報告徴収や立ち入り検査も実施できます。

留意事項

修理業者が登録するかどうかは任意ですが、未登録の業者が修理を行うと、違法改造となる可能性があります。また、登録業者による修理でも、メーカー保証が無効になる場合があります。

登録は、特別特定無線設備または特定端末機器ごとに行う必要があり、機種ごとに登録が必要です。携帯電話端末には複数の特定無線設備が搭載されていることが多いため、修理にはすべての設備について登録されている必要があります。

登録修理業者と表示されていても、すべての機種が登録されているとは限りません。

登録業者一覧

（2019年2月19日現在の登録業者一覧は、本文中に記載されています。）

脚注

関連法令：登録修理業者規則、特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則、端末機器の技術基準適合認定等に関する規則
外部リンク：総務省電波利用ホームページ、総務省安全・信頼性の向上についてホームページ、ケータイWatchの記事など

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