石の塔

石の塔（いしのとう）

石の塔は、青森県南津軽郡大鰐町と秋田県大館市の境にある、夏越と呼ばれる標高450メートルの峠近くに位置する高さ約24メートル、周囲70メートルの巨大な石です。この岩石は新第三紀、中新世に形成された凝灰岩から成り、浸食されずに残ってきた珍しい地質の象徴とも言えます。石の下には久須志神社があり、青森県側に傾斜しています。そのため、石の根元には小さな神殿が立っています。この巨石は地域住民にとって特別な存在であり、「石の塔を見ないと、大きなことは言えない」という地元の言い伝えがあります。

歴史的な背景

石の塔は、江戸時代から地元で神様が天から降ってきたものと信じられてきました。信仰は地元にとどまらず、全国各地から訪れる行者たちが参拝に来たという記録も存在します。特に久須志神社は眼病に対して効果があるとされ、毎年4月8日に行われる祭りには多くの参詣者が集まり、煮付けなどの販売も行われる賑やかな行事となっています。

特に記録に残る出来事は、1689年に弘前藩主の異母弟である津軽兵庫信章が、湯治を兼ねて大鰐を訪れ、石の塔を参詣する際、一族郎党53人を引き連れ、夏越から越境した事件です。この出来事は「津軽兵庫信章越境事件」として知られています。石の塔から秋田県側への急勾配は挑戦的であり、信章が実際に石の塔を迂回したことが想像されています。1796年には紀行家の菅江真澄が石の塔見物のために登ったとの記録があり、石の塔が地域の観光スポットとしても注目されていたことがわかります。

行事とイベント

石の塔周辺では、大鰐町が主催する『万国ほら吹き大会』が毎年6月に行われています。この大会では、参加者が「大法螺吹免許証」を取得した後、大きな誇張話を披露することを競います。持ち時間は5分間で、どれだけ面白く豪華に話すかが勝敗を決める要素となっています。また、秋田県側でも越山十日会が協力し、イベントに参加する人々のためにバスツアーが組まれることもあります。これは地域のおこしとしての施策でもあります。

アクセス方法

石の塔に訪れる方法は、青森県側と秋田県側の2通りがあります。

• - 青森県側からのアクセス

大鰐町にある虹貝川を遡り、そこから大鰐温泉郷を経由して登山口まで40分ほどかかります。登山口からは徒歩で約45分の道のりです。

• - 秋田県側からのアクセス

国道7号に沿って秋田県道68号を進み、田代岳県立自然公園内の五色湖緑地公園キャンプ場から車で約30分です。そこから徒歩約1時間で登山口に到達します。

このように、石の塔はその壮大な姿と歴史、さらには地元の人々の文化行事によって、多くの人々の心に残る名所となっています。

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