石川県立美術館

石川県立美術館：石川の美術文化を彩る珠玉のコレクションと歴史

石川県立美術館は、石川県金沢市出羽町に位置する、美術愛好家にとって必見の美術館です。1945年の開館以来、石川県ゆかりの作品を中心に、質の高いコレクションを誇り、地域文化の活性化に大きく貢献しています。

戦後からの歩みと現在の姿

美術館の歴史は、戦後まもない1945年10月、金沢市本多町の旧北陸海軍館を改装して開館したことに始まります。その後、占領軍による接収を経て、1959年には谷口吉郎氏設計による新たな建物で再出発。1983年には現在の場所に移転し、現在の名称となりました。設計は富家宏泰氏によるものです。

数々の試練を乗り越え、現在では、地元事業家からの浮世絵版画2,224点の寄贈や、2008年の大規模改修を経て、充実した施設となっています。2019年には長年館長を務めた嶋崎丞氏が逝去され、その後任として青柳正規氏が就任しました。しかし、2024年1月1日に発生した能登半島地震の影響を受け、常設展示室の作品の一部に被害が生じています。

貴重な文化財と充実した展示

美術館の収蔵品は、石川県にゆかりのある作品を中心に構成されており、その質の高さは国内でも高く評価されています。

国宝として、野々村仁清作の色絵雉香炉など、重要文化財として、紙本墨画西湖図、色絵梅花図平水指など、数多くの貴重な作品が展示されています。特に、第一展示室には、野々村仁清による国宝「色絵雉香炉」と重要文化財「色絵雌雉香炉」の2点が展示され、来館者の注目を集めています。

また、前田育徳会尊経閣文庫分館では、前田家の文化財を管理する前田育徳会が所蔵する美術工芸品が月替わりで展示されています。さらに、石川県内の社寺や個人からの寄託品として、国宝の剣「銘吉光」や、多くの重要文化財も展示されており、日本の美術史を深く理解するための貴重な機会を提供しています。

広坂別館と文化財保存修復工房

2008年の大規模改修において、尊経閣文庫寄託品の保管室だった場所が、広坂別館・石川県文化財保存修復工房として生まれ変わりました。ここでは、表具修復室、漆芸品修復室、展示スペース、和室などが整備され、職人が文化財を修復する様子を間近で見学することができます。建物の歴史も古く、加賀藩の筆頭家老本多氏の上屋敷跡地に建てられた、旧陸軍第九師団師団長官舎を再利用しています。

充実した施設とアクセス

美術館には、石川県の伝統工芸品や収蔵品の複製などを販売するミュージアムショップと、辻口博啓氏プロデュースのカフェ「ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA」が併設されています。

アクセスは、金沢駅から北陸鉄道バスで「広坂・21世紀美術館」または「出羽町」バス停から徒歩でアクセス可能です。また、金沢ふらっとバスも利用できます。周辺には兼六園、金沢21世紀美術館、国立工芸館など、多くの観光スポットがあり、一日を通して金沢の文化に触れることができます。

今後の展望

能登半島地震からの復興、そして、更なる充実したコレクションと展示、そして地域社会への貢献を通して、石川県立美術館はこれからも石川の美術文化を牽引していくでしょう。

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