社会派

社会派とは

社会派とは、日本のキリスト教エキュメニカル派において、キリスト教が社会に対して果たすべき役割を重視し、政治的・社会的な運動にも積極的に関わる教会、キリスト教団体、および関係者を指す言葉です。この言葉は、もともと日本基督教団の教団紛争において、対立するグループを指すために、「教会派」という言葉に対応して用いられるようになりました。

歴史的背景

1970年代初頭、社会派と教会派の対立は激化しました。1970年のバプテスト世界大会が安保改定推進のための会議とみなされ、安保闘争が起こりました。また、同年開催の日本万国博覧会は資本主義の象徴とされ、万博キリスト教館の建設を巡り、日本基督教団内部で激しい対立が生じ、反万博闘争へと発展しました。この対立は、日本基督教団を代表する神学校である東京神学大学を舞台に、「東神大闘争（社会派側の呼び方）」または「東神大紛争（教会派側の呼び方）」として繰り広げられました。最終的に、東神大教授会は機動隊の力を借りて社会派によるバリケード封鎖を鎮圧し、東神大は教会派の拠点となりました。

東京神学大学全学共闘会議は、1971年1月25日に解散宣言を発表し、「闘いに終わりはない」と主張しました。この宣言は、東神大教授会、キリスト教会、国家権力、そして闘争から脱落した仲間たちへの告発の書であり、桜井秀教、久保田文貞、土枝正策、戒能信生らは、この総括から新たな闘いへと出発する決意を示しました。

1971年の日本基督教団東京教区総会では、社会派と教会派の対立が先鋭化し、機動隊が投入される事態となりました。この事件以降、20年もの間、総会を開催することができませんでした。

社会派の特徴

社会派は、アメリカにおけるメインラインの立場に近く、神学的には自由主義神学の流れを汲み、社会的福音を強調する傾向があります。しかし、その定義は明確ではなく、用語の登場経緯から、キリスト教内部の対立や紛争における中傷語として使われることもあります。そのため、この用語の使用には注意が必要です。

社会派に対する評価

エキュメニカル派とは異なる福音派においては、社会派と教会派の対立は日本キリスト教協議会や日本基督教団内部の問題と捉えられ、福音派はこの紛争に直接関与していません。ローザンヌ誓約以降、福音派の教会でも社会責任を強調する動きが見られますが、福音派は教会形成と福音伝道を主要な任務とし、社会問題は副次的なものと位置付けています。

日本における社会派の教派・団体

日本において社会派と見なされる主な教派・団体は以下の通りです（ただし、プロテスタント教団は各教会の自主性を尊重しており、教会や牧師個人によって大きな差異があります）。

カトリック正義と平和協議会
日本キリスト教協議会
近畿福音ルーテル教会
在日大韓基督教会
日本キリスト教会
日本聖公会
日本基督教団（教団内部の教会派との対立が継続中）
日本バプテスト同盟
日本バプテスト連盟
日本福音ルーテル教会

関連用語

自由主義神学
フェミニスト神学
解放の神学
エキュメニズム

外部リンク

* 日本キリスト教協議会

社会派は、キリスト教が社会に対してどのように関わるべきかという問題を提起し、その具体的なあり方を模索する上で重要な存在です。しかし、用語の使用には注意が必要であり、歴史的背景や教派間の複雑な関係性を理解した上で用いることが望ましいでしょう。

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