神戸市立御影公会堂

神戸市立御影公会堂

神戸市立御影公会堂は、兵庫県神戸市東灘区に位置する歴史的建造物で、国の登録有形文化財に指定されています。石屋川の東側、国道2号線北側に位置し、その美しい外観は地域の人々に親しまれています。公会堂は集会施設としての役割を果たす一方で、施設内にある「御影公会堂食堂」は、建設当時から営業を続ける老舗の洋食店として知られています。

建設の経緯

御影公会堂は、御影町時代に「御影町公会堂」として建設されました。設計は清水栄二が担当しました。建設費は、白鶴酒造の嘉納治兵衛からの多額の寄付金を中心に賄われました。具体的には、嘉納治兵衛が合計20万円を寄付し、その利子や町費積立金、一般町費を合わせて総額24万414円87銭が建設費に充てられました。敷地は石屋字左美也百二十二番地の十二の945坪6合6尺の土地で、1932年6月15日に大林組の請負で着工し、翌年5月20日に竣工しました。その後、5月25日に落成式が行われ、6月14日には使用条例が定められました。

戦災と復興

1945年の神戸大空襲により、御影の町は焦土と化し、公会堂も被災しました。戦後、御影幼稚園が園舎を全焼したため、一時的に公会堂で再開されました。当時の状況について、教諭の内海薫は「外側だけが残っていて、内部はがらんどうだった」と語っています。1階の3部屋とロビーの一部のみが残った状態でした。その後、1951年に新園舎が完成し、幼稚園は移転しました。
終戦後、御影町には自力で修復する財力がなかったため、1950年の神戸市との合併後、市によって修繕と改修が行われ、1953年4月から使用が再開されました。

戦後の利用

再開後、大ホールは神戸市最大の集会施設として、約1000人を収容できる規模を誇りました。1957年11月からは結婚式場としても利用され、最盛期には年間1100件もの挙式が行われました。しかし、結婚式場の増加に伴い、利用件数は減少。1983年に結婚式場としての利用は終了しました。また、1974年夏には冷房施設が整備され、施設の快適性が向上しました。その後、より大型の施設が建設されたことで、利用者は減少しました。

震災とその後

建築から60年が経過し老朽化が進んだため、神戸市は公会堂を大規模改修し、「嘉納記念館」とする計画を立てました。しかし、1995年の阪神・淡路大震災により計画は中止となりました。公会堂は、周辺の建物が甚大な被害を受ける中、ほとんど無傷で残り、震災直後から約1年間にわたり避難所として活用されました。
震災から21年後の2016年4月から、老朽化対策とバリアフリー化を目的とした大規模なリニューアル工事が実施されました。約16億円が投入され、外観をほぼそのままに保ちながら改修が行われ、2017年4月10日にリニューアルオープンしました。地下には「御影郷土資料室・嘉納治五郎記念コーナー」が設けられ、嘉納治五郎の功績が称えられています。2013年には、DOCOMOMO JAPAN選定の「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」にも選ばれています。

構造

以下は、建設当時の情報に基づいた公会堂の構造です。近世式鉄筋コンクリート3階建てで、総面積は978.34坪でした。

地階: 211.76坪
1階: 309.29坪（大集会場、貸室、控室、浴場など）
2階: 201.35坪（貴賓室、日本室、浴場など）
3階: 141.00坪（食堂、控室など）
塔屋及び休憩所: 14.94坪
その他: 娯楽室、露台

脚注

公会堂の歴史について、以下の資料が参考になります。
原田 健 編『東灘区25年』
田辺眞人『東灘歴史散歩』
玉木敬太郎 編『御影町誌』
道谷卓 編『うはらの歴史再発見 ～ちょっと昔の東灘～』

外部リンク

御影公会堂公式ウェブサイト

関連項目

火垂るの墓

御影公会堂は、その長い歴史の中で、地域の変遷を見守ってきた重要な建築物です。現在も、地域の人々にとってかけがえのない存在として愛され続けています。

もう一度検索