神魂神社

神魂神社（かもすじんじゃ）

神魂神社は、島根県松江市大庭町に位置する神社で、県社の旧社格を有する意宇六社の一つです。現存する日本最古の大社造りである本殿は国宝に指定されており、地元では「神魂さん」や「大庭の大宮さん」と親しまれています。また、神納神社という別名も知られています。

歴史と成り立ち

社伝によると、神魂神社は出雲国造の始祖である天穂日命によって創建されたと伝えられていますが、『延喜式神名帳』や他の文献にはその記載が見られません。このことから、出雲国造家が自らの祖神を私的に祀っていたことが原因であるとされています。その後、神社は現在地に勧請され、地域の信仰を集めることとなりました。

文献における初見は承元2年（1208年）であり、創建は平安時代中期にさかのぼると考えられています。神魂神社がある大庭は、出雲の国分寺や国府に近く、古代出雲の重要な政治や経済の中心地でもありました。出雲国造家は25代にわたり当社に奉仕しており、延暦17年（798年）以降は出雲大社の宮司家に移るまで、神魂神社に関与し続けたとされています。

神社の祭神

神魂神社の主祭神は伊弉冊大神で、配祀神には伊弉諾大神が祀られています。中世末期から近世初期にかけての文書には、この祭神の存在が見られる一方で、それ以前の祭神については不明な点も多いです。新嘗会の祝詞には熊野大神や大己貴命などが名を連ね、出雲国造家との深い関係が伺えます。社名からは、神魂命が元の祭神であったとも考えられています。

本殿

神魂神社の本殿は国宝に指定されており、正平元年（1346年）の古材が使用されています。現存の社殿は天正11年（1583年）に再建されたもので、伝統的な大社造りの形態を保っています。規模は約5.5メートル四方で、屋根は切妻造りであり、内部には色鮮やかな絵が描かれています。

本殿の構造には、特に「男造」と「女造」という二つの形式があり、出雲大社が男造に対し、神魂神社は女造に属します。神殿の内部には心御柱が中心に建てられ、参拝者はその周りを回るようにしてお参りします。

主な祭りと行事

神魂神社では、年間を通じて様々な祭りや神事が行われており、特に重要なものとして次の行事があります。

• - 4月18日：祈念祭、神火相続（火継式）
• - 10月18日：例祭
• - 11月11日：神在祭
• - 12月13日：新嘗祭、御釜神事

神火相続式は、出雲国造の代替わりを祝う神事で、神々の霊威を留める重要な儀式です。神事が行われた後には、出雲大社に報告するなど、伝統が受け継がれています。

結論

神魂神社は、出雲の歴史と文化が色濃く息づく場所で、地域住民にとって大切な信仰の対象です。また、国宝としての価値も高く、訪れる人々に深い感銘を与える神社となっています。

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