花郎

花郎（ファラン）とは

花郎（ファラン）は、新羅時代（前57年から935年）に存在した若者の修養団体であり、国立国語院による定義では、民間の教育組織として理解されています。特に、外見が整った貴族階級の青年たちによって構成され、心身の鍛錬と社会の善導を理念としたことが特徴です。指導者は国仙や花主と呼ばれ、花郎の周辺で様々な活動が行われました。仏教の影響を受け、道義、音楽、狩猟など幅広い学びを提供し、若者たちは宮廷で国のために仕えました。

起源と制度の成立

花郎の起源については、文献『三国史記』の「新羅本記 真興王」に初めて言及されています。花郎制度は、優れた人材を朝廷に紹介することを目的として設立されたとされます。東洋史研究者である三品彰英によれば、花郎制度は男子集会所に起源を持ち、これは中国の「子帚制」や日本の「ヒメヒコ制」と同様の特性を持ちます。花郎の制度は、戦士団的な男子の集まりであったと考えられ、朝鮮半島が戦闘状態にあったことも影響したといいます。

花郎制度が正式に設立されたのは、真興王37年（おおよそ576年）で、この際に複数の特徴が認識されます。歌舞や娯楽を楽しむ社交クラブ、国家の危機に備える青年戦士団、青年の教育機関であり、貴族の子弟が公務員としての教育を受ける機関として機能していました。

新羅以降の発展

高麗時代には、花郎の伝統が続き、八関会という民間行事において仙郎の歌舞が行われました。この行事は、仏教の祭りと秋の収穫祭が組み合わさったもので、李朝の儒教政策により廃止されるまで続きました。当時の仙郎は、四人の優れた若者から成り、彼らは新羅時代の花郎に由来しています。

李朝の時代には、花郎はさまざまな社会的な役割を持ち、男のシャーマンや芸人、舞童、さらには遊女として位置付けられました。このような変化は、花郎を当初の貴族の青年から、社会の最下層に位置づけられる存在へと転換させました。

花郎と軍事性

韓国では、第二次世界大戦後に花郎が軍事的な組織として注目されるようになりましたが、多くの研究者はこの説に異論を唱えています。確かに数人の花郎に武人がいたことはありますが、実際には花郎全体が軍事組織であったという証拠は乏しいです。むしろ、記録上の多くの花郎は軍事とは無縁であり、その印象は後の歴史家によって誇張された部分があるとされています。

また、世俗五戒に関連した主張にも根拠が薄く、彼らが軍事組織であったとする見解は、誤解や捏造に基づいているとされます。戦後に芽生えた花郎の軍事的イメージは、愛国心を喚起するために利用された結果とも考えられています。

文化的な影響

花郎は後世においても影響を及ぼし、様々な文化的なコンテンツに取り入れられました。例えば、ドラマ『善徳女王』や『花郎』では、歴史的な実際とはかけ離れた表現がなされており、エンターテイメントとしての側面が強調されています。

実際の歴史において、花郎が果たした役割やその社会的背景は、政治的・文化的な文脈に依存しています。なので、花郎の存在は単なる歴史的な現象に留まらず、韓国におけるアイデンティティ形成にも深く関わっているのです。

このように、花郎は新羅時代から続く長い歴史を持つ組織であり、その形態や意味は時代とともに変化してきました。現代においてもその影響は色濃く残っており、今後も研究が続けられることでしょう。

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