茶園

茶園について

茶園とは、チャノキを栽培する畑のことを指します。一般的には「茶畑」とも呼ばれます。チャノキはプランテーション作物として知られていますが、国や地域によって栽培形態は異なります。ここでは、主に日本の茶園について解説します。

日本の茶園の特徴

日本の茶園には、様々な種類があります。主なものとして、以下のようなものが挙げられます。

在来茶園：古くからある、在来種を株ごとに仕立てる茶園です。実生（種から育てる）で増やしていくため、実生園とも呼ばれます。
仕立て茶園：株の成長をうね状（列状）にするために、形を整えて仕立てる茶園です。弧状型、三角型、水平型などがあります。
自然仕立て茶園：チャノキを自然のままに育て、形を整えない茶園です。
急傾斜地茶園：急な斜面に作られた茶園です。
幼木園：チャノキの幼木を育てるための茶園です。

歴史

日本では、古くから在来茶園が主流でした。田畑の畦畔にチャノキを植えて境界としたり、防風や土砂流出防止のために植えられた畦畔茶園も多く見られました。第二次世界大戦後、挿し木技術が確立し、品種改良された栽培品種が導入されたことで、多くの茶園が変化しました。現在では、特定の品種のみを栽培する品種園も多く見られます。

園相

園相とは、良い茶園を作るための要素を指します。気象条件、土壌の状態、葉のつき方、葉の持つ力など、茶園の出来具合を総合的に判断する言葉です。茶園を管理する上で、園相を見極めることは非常に重要です。

年間の管理

茶園の管理は、一年を通して計画的に行われます。

1月：年間の茶園計画を立てます。
2月：土壌の調整を行います。
4月：一番[[茶]]を収穫します。
5月：二番[[茶]]を収穫します。
6月～7月：三番[[茶]]、四番[[茶]]を収穫します。
8月～9月：台風対策や整枝を行います。
10月：チャノキの花が咲くため、茶葉への栄養を温存する対策を行います。根の生育と幼木の生育準備を始めます。
11月：茶園の記録を整理し、幼木の生育状況を確認します。
12月：寒害対策を行います。

収量

茶園の収量は、茶葉の芽数、芽の重さ（芽重）、収穫面積によって決まります。芽数を増やそうとすると芽重が減り、芽重を増やそうとすると芽数が減るという相対的な関係があるため、品種に合わせてどちらを重視するかが重要です。

また、摘採法によっても収量が変わります。主な摘採法は、手摘み、はさみ摘み、機械摘みの3つです。手摘みは品質の高い茶葉を収穫できますが、効率が悪いため、近年でははさみ摘みや機械摘みと併用されることが多いです。

気象条件

チャノキは低温に弱く、マイナス10℃以下になると葉や枝が枯れる可能性があります。そのため、茶園には防霜ファンが設置されていることがあります。また、散水氷結法や被覆法などの寒害対策も行われます。高温にも弱く、30℃を超えると生育に支障をきたすことがあります。

寒害と干害

寒害：低温による葉の凍結や枯死、幹の凍結、落葉などがあります。赤枯れ、青枯れ、寒風害、枝枯れ、幹割れなどが主な症状です。
干害：水分不足による枝枯れ、日焼け、落葉などがあります。

土壌

茶の生育には、土壌の質が非常に重要です。窒素は茶の肥料の主成分ですが、過度の使用は水質汚染につながるため、窒素吸収率を上げるための土壌作りが行われています。具体的には、土を耕して空気の通りを良くしたり、堆肥などを投入して微生物の働きを促し、保肥力や保水力を高めるなどの対策が行われます。

病虫害

茶園では、様々な病害虫が発生します。主なものとして、輪斑病、新梢枯死病、炭疽病、アミモチ病、チャノキイロアザミウマ、チャノミドリヒメヨコバイ、チャノホソガ、コカクモンハマキ、チャハマキ、ネマトーダ、クワシロカイガラムシ、カンザワハダニ、ホコリダニ、赤焼病、ヨモギエダシャク、灰色かび病などがあります。これらの病害虫に対して、殺菌剤の散布やフェロモントラップなどの防除対策が行われます。

茶の生産地

日本では、静岡県、鹿児島県、三重県などが主な茶の生産地として知られています。地域によって、収量や品質に違いがあります。

参考資料

木村政美『茶園管理12カ月 : 生育の見方と作業のポイント』農山漁村文化協会、2006年
大石貞男『茶の生育診断と栽培』（改訂第2）農山漁村文化協会、1986年
武田善行『茶のサイエンス : 育種から栽培・加工・喫茶まで』筑波書房、2004年

関連情報

茶摘み（童謡）
八十八夜
お茶街道
お茶を楽しむホームページO-CHA NET
茶園づくり 育苗と定植－京都府立茶業研究所
* 畑に残る畦畔茶（けいはんちゃ）- 三芳町立歴史民俗資料館

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