荻田泰永

荻田泰永：極地を歩き続ける冒険家

荻田泰永（おぎた やすなが）は、1977年9月1日生まれの日本の冒険家です。彼は、特に北極圏における単独徒歩行という過酷な挑戦を続けており、その活動は国内外から高い評価を受けています。元N.A.P所属で、現在は北海道上川郡鷹栖町に在住しています。

冒険への目覚め

荻田は神奈川県愛甲郡愛川町で生まれ、神奈川県立愛川高等学校を卒業後、神奈川工科大学に進学しますが、3年で中退します。1999年、テレビで偶然目にした極地冒険家・大場満郎の北極冒険の話に心を奪われ、自身も極地への冒険に挑戦することを決意します。アウトドア経験が全くない状態から、2000年に大場が企画した「北磁極を目指す冒険ウォーク2000」に参加。これが彼の最初の海外旅行であり、初の北極行となりました。

単独冒険の道へ

この冒険をきっかけに、荻田は2001年から単独での冒険行をスタートさせます。以来、毎年のように北極圏を訪れ、様々な挑戦を行ってきました。2012年には日本人初となる「北極点無補給単独徒歩」に挑戦しましたが、海氷の状況と天候の悪化により、17日目で断念を余儀なくされました。しかし、彼はその後も挑戦を続け、2018年1月6日には、日本人初となる南極点への無補給・単独徒歩踏破に成功しました。

荻田の主な冒険歴

2000年: 「北磁極を目指す冒険ウォーク2000」に参加し、レゾリュートから北磁極まで700kmを徒歩で踏破。
2001年: カナダ北極圏レゾリュートでのトレーニング。
2002年: レゾリュートからグリスフィヨルド（カナダ最北の集落）までの500kmを単独で徒歩行。
2003年: カナダ北極圏ビクトリア島での徒歩行、夏のビクトリア島ツンドラトレック。
2004年: グリーンランド犬ぞり縦断行（シオラパルク〜アンマサリク、2000km）。
2006年: カナダ北極圏ケンブリッジベイ偵察行。
2007年: レゾリュートからケンブリッジベイまでの1000km単独徒歩行（500km地点で火傷により断念）。
2008年: 夏のツンドラトレック。
2010年: レゾリュートから北磁極までの700kmを無補給単独で徒歩行。
2011年: レゾリュートからジョアヘブン、ベイカーレイクまで1600kmを徒歩行。
2012年: 北極点無補給単独徒歩に挑戦（途中断念）。
2014年: 北極点無補給単独徒歩に挑戦（途中断念）。
2016年: グリスフィヨルドからシオラパルクまでの徒歩横断に世界で初めて成功。

受賞歴と著書

荻田の功績は数々の賞にも輝いており、その一部を紹介します。

2011年度: ファウストA.G.アワード冒険家賞を受賞。
2017年度: 植村直己冒険賞を受賞。
2022年度: 日本絵本賞大賞を受賞。

また、彼は自身の経験をまとめた著書も出版しています。

『北極男』（講談社、2012年）
『考える脚 北極冒険家が考える、リスクとカネと歩くこと』（KADOKAWA、2019年）

これらの著書からは、彼の冒険に対する情熱、そして挑戦を通して得られた深い洞察を垣間見ることができます。

冒険家としての哲学

荻田の冒険は、単に極地を踏破することだけが目的ではありません。彼は、自然と向き合い、自己と対話する中で、人間としての成長を追求しています。彼の言葉や行動は、困難に立ち向かう勇気や、新たな可能性を切り開く力を私たちに与えてくれます。

彼の挑戦はこれからも続いていくでしょう。私たちは彼の冒険を通して、未知の世界への憧れ、そして自己の限界を超える可能性を感じることができるでしょう。

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