西上田駅

西上田駅：上田盆地の歴史と変化を映す駅

長野県上田市下塩尻に位置する西上田駅は、しなの鉄道線とJR貨物線が乗り入れる、歴史と変化に富んだ駅です。上田駅から西側に位置し、塩尻地区の玄関口として、地域住民の生活を支えています。

歴史を刻む軌跡

西上田駅は、1920年（大正9年）に信越本線の北塩尻駅として開業しました。その後、1956年（昭和31年）に現在の西上田駅へと改称されました。国鉄分割民営化後の1987年（昭和62年）には、JR東日本とJR貨物の駅となりましたが、1997年（平成9年）の北陸新幹線開業に伴い、信越本線の一部が しなの鉄道に移管され、JR東日本からしなの鉄道の駅へとその役割を変えました。

長い歴史の中で、西上田駅は幾多の出来事を経験しています。1994年（平成6年）には、構内の石油タンク爆発事故が発生し、痛ましい犠牲者が出ました。また、駅周辺の産業の変化も、駅の貨物取扱量に影響を与えました。日本オイルターミナル上田営業所の閉鎖（2011年）は、長年続いた石油輸送の終焉を告げ、駅の貨物輸送の様相を一変させました。近年では、2022年（令和4年）から土曜・休日は無人駅となっています。

駅の構造と機能

西上田駅は、島式ホームと単式ホームを組み合わせた2面3線の地上駅です。ホーム間は跨線橋で連絡しており、バリアフリーへの配慮も見られます。駅舎は木造建築で、温かみのある雰囲気を醸し出しています。平日のみ、しなの鉄道の職員が配置され、自動券売機も設置されています。かつては貨物列車の発着も盛んに行われていましたが、現在はJR貨物の臨時車扱貨物取扱駅となっており、定期的な貨物列車の発着はありません。

物流と産業を支えた貨物輸送

かつて西上田駅は、地域の産業を支える重要な貨物拠点でした。駅東側には日本オイルターミナル上田営業所があり、川崎製油所から石油を輸送する専用[[貨物列車]]が運行されていました。また、駅西側には住友大阪セメントのセメント包装所があり、セメント輸送も行われていました。これらの貨物輸送は、営業所の閉鎖や輸送方法の変化などにより、現在では行われていません。しかし、構内にはかつての貨物輸送設備の名残があり、駅の長い歴史を物語っています。

利用状況と周辺環境

2021年度の1日平均乗車人員は約753人です。近年は、周辺地域の開発や人口動態の変化により、利用状況も変遷を繰り返しています。駅周辺には、住宅地が広がり、静かな住宅街の雰囲気です。駅舎に設置された駅スタンプは、小県郡青木村にある大法寺の国宝三重塔をモチーフとしており、地域の歴史と文化を象徴するデザインとなっています。

未来への展望

西上田駅は、上田盆地の歴史と変化を映す鏡です。石油輸送という重要な役割を終え、現在は旅客輸送を中心に、地域社会に貢献しています。今後、周辺地域の開発や交通事情の変化に応じて、西上田駅はどのような役割を担っていくのか、注目が集まります。

参考文献

『上田市の統計』
『トワイライトゾーンMANUAL 6、12』
郷田恒雄「全国の現役機関車をめぐって 民営鉄道の電気機関車・ディーゼル機関車はいま・・・・ -その33-」『鉄道ファン』
日本オイルターミナル株式会社-当社のあらまし・沿革

もう一度検索