買い占め

買い占めとは

買い占めとは、特定の意図に基づき、商品、株式、土地などを大量に買い集める行為を指します。その目的は多岐に渡りますが、主なものとしては、市場における流通量の減少によって生じる価格上昇を利用し、利益を得ることが挙げられます。また、企業の経営権を掌握するために株式を買い集めるケースも少なくありません。さらに、商品の値上げや生産終了、品薄といった状況に備えて、需要が集中する前に買いだめを行う、いわゆる「駆け込み需要」による買い占めも存在します。

買い占めを行う主体は、個人または団体であり、その主な動機は利益の追求です。しかし、中には、個人の趣味や嗜好によって特定の品を収集する、といった目的で買い占めが行われることもあります。

買い占めという言葉は、単独または少人数のグループが、市場に出回る商品の大半を買い上げる状況を指します。これに対し、多くの消費者が特定の商品を求めた結果、市場から商品がなくなる状況は、単なる「需要超過」であり、買い占めとは区別されます。

買い占めの事例

過去の日本では、買い占めや売り惜しみによる食料価格の高騰が、社会不安や暴動を引き起こした事例がいくつか存在します。例えば、江戸時代の打ちこわしや、1918年、1993年の米騒動などが挙げられます。また、1973年の第一次オイルショック時には、風評によってトイレットペーパー騒動が発生しました。

2011年の東日本大震災直後には、計画停電の実施が発表されたことによる電力危機への不安から、ミネラルウォーター、米、カップラーメン、乾電池、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、使い捨てカイロなどの買い占めが東日本を中心に発生しました。

さらに、2017年には、中東のカタールが周辺諸国から国交断絶を宣告された際、首都ドーハのスーパーマーケットで商品が買い占められる事態が発生しました。

法律・制度

生活に不可欠な物資の一部については、買い占めや売り惜しみが法律で規制されています。日本では、1973年に「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律」（買占め及び売惜しみ防止法）が制定され、生活に密接に関わる物資の買い占めや売り惜しみが禁止されました。

株式の買い占めについては、同じく1973年に、株式公開買い付け制度が導入されました。この制度では、株式を取得する目的、買い付け価格、目標とする株式数、買い付け期間などを事前に公告し、不特定多数の株主から株式を買い取ることが求められます。

土地の買い占め（地上げ）に関しては、弁護士資格を持たない者が報酬目的で交渉や仲介を行うと、非弁行為として弁護士法に違反する場合があります。また、転売目的でチケットを買い占める行為は、ダフ屋行為として迷惑防止条例で禁止されており、2019年には「チケット不正転売禁止法」が施行されました。

問題点

買い占め行為は、商品を必要とする人々にとっては迷惑な行為であり、非難の対象となることが多いです。一方で、資本主義の観点からは問題ないとする意見も存在します。しかし、買い占めによって価格が吊り上げられたり、売り惜しみが発生したりすると、市場の公正な競争が阻害され、経済全体に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、買い占めを行う業者や転売屋が市場で寡占的な立場にある場合や、大きな影響力を持つ場合には、その影響は深刻になります。

関連事項

生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律
国民生活安定緊急措置法
消費者心理
希少価値
レアアイテム
プレミア
配給 (物資)
転売屋
駆け込み需要
大人買い
* 爆買い

もう一度検索