賈誼

賈誼（か ぎ）について

賈誼（紀元前200年 - 紀元前168年）は、前漢の時代に活躍した政治家、思想家、そして文学者です。彼は河南郡の雒陽県出身で、後漢の賈逵は彼の子孫にあたります。賈誼の生涯は、彼の卓越した能力と不遇な境遇が交錯するものであり、その功績は今も高く評価されています。

若き日の才能

賈誼は、18歳という若さで『詩経』や『書経』についての議論を展開し、当時の郡ではその文学的才能が賞賛されていました。河南郡の守である呉公は、彼の才能に惚れ込み、賈誼を自らの門下に迎えました。文帝が即位した際、呉公の推薦により、賈誼は廷尉に任命されます。彼は22歳という若さでありながら、古典の知識を持っており、このことで博士として重用されたのです。

政治活動と提言

賈誼はその後も急速に昇進し、太中大夫にまで上り詰めました。彼は漢の制度について、儒教や五行説に基づき、国の方針として「正朔の改定、服装の変更、法制度の整備、礼楽の振興」を提案しました。文帝は彼に更なる出世を望みましたが、紀元前176年に彼は嫉妬を受け、長沙靖王呉著の太傅として左遷されてしまいます。

左遷された際、彼は屈原を偲んで詠んだ『弔屈原文』を残しており、これは後に『文選』にも収録されることとなります。この約3年間の左遷の中で、賈誼は失意の中にいましたが、紀元前174年に文帝から再び召されます。このとき、彼の神明の問題に対する見解が文帝の心にかなうものであり、彼は再び重用され、梁懐王劉揖の太傅に就任しました。

しかし、彼が勤めた時期には、漢朝は内部外部の多くの問題に直面していました。特に、王国の脅威や匈奴の侵入が不安材料でした。賈誼はこれに対しても提案を行い、彼の提案は現代において「治安策」として知られています。彼は、第一に諸侯の権力を抑制し、第二に異民族に対して軽視せず警戒することを訴えています。

亡き後の賈誼

短い生涯の中で、賈誼は33歳で無念のうちに亡くなります。彼の死因は心労によるものとされ、梁懐王の死を悼んだとも言われています。彼の政治思想は、儒教の正統を基にしたものであり、これが若くして重用された理由とも言えます。彼の文章は激しくもありながら美しく、古典期の名文として称えられています。

代表的な文学作品と逸話

賈誼の書き残した文章の中には、議論と叙述が交錯するスタイルが特徴的です。特に『鵩鳥賦』は有名であり、賈誼が長沙での任期中に執筆され、『文選』にも収められています。この詩の背景には、ある日屋敷に飛び込んできた鵩鳥に関する逸話があります。彼はその鳥が飛び込むことを不吉と捉え、そこから生死、運命、志についての思いを綴ったのです。

賈誼の作品や逸話は、彼の思考を形作ったり、彼の哲学に深みを与えるものとなっています。その後の中国文学や政治思想にも影響を及ぼすこととなります。

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